札幌証券取引所は21日、札証に上場しているエコミックとアインファーマシーズの個人投資家向けIRセミナーを開催した。2階フロアで行われたセミナーには個人投資家約80人が出席、5月末に札証新理事長に就任した小池善明氏も顔を出し、満杯の会場に「市民に開かれた証取」を改めて実感したようだった。(写真はIRセミナーで会社説明をするエコミック熊谷浩二社長=左とアインファーマシーズの大谷喜一社長。※写真の位置は「続きを読む」の本文中では左右が入れ替わります)
札証アンビシャス市場に上場しているエコミックの熊谷浩二社長は、前期決算や今期の見通しを中心に約40分講演。
エコミックは、給与計算の受託を主な事業にしているが、昨年度は給与計算の受託人数が44万2976人から47万8852人に8・1%増加したものの、同業の1社から受託している年末調整の受注が減り4400万円の減収要因になった。しかし、営業面の強化で減少分をカバー、売上高は0・2%微増の4億6654万円になった。
前期の純利益は3189万円でその前の期に比べて51・9%の大幅増になり過去最高利益を確保。「訴訟による和解金1500万円を特別利益に計上したため。2008年3月期に発生した訴訟による特別損失で736万円の純損失を出したが、そのへこんだ部分を前期に取り戻した格好だ」と熊谷社長は説明した。
同社の売上高に占める道外比率は55・9%で半数以上が道外顧客。前期は同業他社1社からの受注が減った年末調整だが、ニーズは高いと見ており積極的に受託していく考え。
「東京に本社を置く同業他社が年末調整を東京で行えば、人件費やオフィス賃借料などでどうしても赤字になる。しかし、札幌で行うと低コストで利益も出る。当社としては同業他社との業務提携を含めて年末調整の受託に力を入れたい」と語った。
エコミックは同じ札証に上場しているキャリアバンクのグループ会社でセールスアウトソーシングとともに採用、派遣、教育、再就職支援などグループで人事、総務、経理のワンストップサービスを提供できるのが強み。
熊谷社長は、「当社は現預金の比率が高く自己資本比率も90%超。上場企業の中で安全度の指標は一番高い。株価は安いのでお値打ちの株ではないか」と参加者に訴えかけていた。
その後、札証に重複上場している東証1部上場のアインファーマシーズ大谷喜一社長が同社の業績や将来見通しについて講演した。
今回の札証IRセミナーは、小池氏が札証理事長について初めての開催で小池氏も聴講のために参加した。小池理事長は「地域と一体となった証取が生き残りの条件」と語っており、毎回定員をオーバーする個人投資家向けIRセミナーには、地域密着のヒントがあるようだ。