札証がIPOセミナーを開催、「公開予定会社とは一心同体で隠し事をしないことが最も大切」とみずほ証券引受審査部田中弘之副部長

経済総合

 札幌証券取引所は20日、3回目となる北海道IPOセミナーを開催した。同取引所と有限責任監査法人トーマツ、税理士法人トーマツの主催によるもので、新規株式公開を目指す道内企業などから担当者約20人が出席した。(写真は講演するみずほ証券の田中弘之氏)
 
 IPOセミナーでは、みずほ証券引受審査部の田中弘之副部長が「主幹事証券会社による上場審査の実務」と題して講演したほか、有限責任監査法人トーマツの本田行則マネジャーが「会計システムの整備と導入の留意点」、税理士法人トーマツの青山祥子マネジャーが「株式上場をめぐる税務問題」をテーマにそれぞれ解説した。
 
 田中氏は、みずほ証券が行っている引受審査の実例を紹介、「引受審査部は上場へのゲートキーパー、門番の役割を担っており社内でも独立した組織。公開をしようとする会社の審査には4~5ヵ月をかけて、上場市場に粗悪品を出さないように徹底的に調査する」と述べ、「公開しようとする会社とは一心同体で隠し事を一切しないことが最も大事」と強調した。

 実際にあった話として次のようなエピソードも紹介。
「営業用車両にポルシェを使用していたり、不動産業で物件を見に行くのに使っているバイクがハーレータビットソンだったり、社員の福利厚生にクルーザーを所有しているというので、航海日誌を見せてくれと言ったら、社長と家族しか使っていなかったり――とパブリックカンパニーになりきれない会社もあった。それでも我々は、何でもダメダメというのではなくて、『こうすれば上場できる』とアドバイスするのが仕事」と説明していた。
 
 引受審査部がゴーサインを出してから証券取引所が審査をするが、大証ジャスダックや東証マザーズなら上場承認に2ヵ月、その後のファイナンスに1ヵ月と引受審査の4~5ヵ月と合わせ、IPOまでに半年以上の期間が必要という。
 札証では、最終回となる4回目のIPOセミナーを7月12日に開催する予定。

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