――東京で2014年4月に起業してから15年2月には札幌に本社を移しました。どうして札幌を選んだのですか。
宮副 一番の理由は採用面です。当社は、労働集約的な事業で、費用のうち4割が人件費、4割が広告宣伝費で原価も在庫もない職種です。だからこそ採用がすごく大事。人材紹介サービスは商圏が日本全国ですから、当社社員の採用マーケットと本社をコスト高の東京に置くのは競争面で明らかに不利です。東京から離れた遠隔地でスタートアップした方が有利になる職種が必ずあるはずで、当社の場合はまさに競争上、一番良い場所で事業を行うことがコスト面でとてもメリットになります。
一番良い場所でスタートアップするという発想は、意外と皆さん持たないようです。でも『どこで起業するか』は重要な要素だと思います。
――札幌以外の都市は候補にならなかったのですか。
宮副 よく札幌ではなくて福岡でも良かったのではと言われますが、福岡は有効求人倍率が札幌より少し高くて人口は若干少ない。それに同じ人がずっと住んでいる街なのです。札幌は道内各地から人材が集まってきて、札幌から本州に流れていくパターン。道内の人口が少しずつ縮小していく中で札幌の人口は横ばいで、採用マーケットとしてはベスト。どの指標でも福岡よりも少しずつ良くて、トータルすると福岡よりかなり良い採用マーケットです。
――採用面で思い通りの結果が得られていますか。
宮副 今現在は、思い通りの採用ができています。ただ今後のことを考えると中核社員は足りなくなってくるはずなので、人材育成の仕組みやポテンシャルを持った新卒を採用できるルートを作っておくことが必要になってきます。また、即戦力になるマネジメント層を引っ張ってくることも考えていかなければならないですね。
――ところで、歯科医院向けに患者を集めるサービスも展開されていますね。
宮副 昨年度から集患のサービス、つまりの患者を集める事業も始めています。口コミサイトを運営して、歯科医を探しているエンドユーザーを集めて、特定の歯科医院に来院を促す広告モデルです。当社は歯科衛生士の情報を大量に扱っていますし、毎日のように歯科衛生士とネット上で対話している強みを活かして、口コミサイトには6000件以上の口コミが付いています。付加価値もありますしオリジナリティもあるので、まず集患向けのサービスに繋げようと思って始めました。
(次回に続く)