歯科医師、歯科衛生士の転職支援サイト「ファーストナビ」を運営しているファーストコネクト(本社・札幌市中央区)。宮副俊彦代表取締役(38)へのインタビュー最終回では、同社の中長期的な成長戦略について聞いた。歯科医院向けでは患者を集めるサービスも開始、介護分野でも入所者を集めるサービスへ繋げていくという。宮副氏が語る転職支援サイトの将来性とは……。(3回シリーズでお伝えします)IMG_9530(写真は、ファーストコネクトの宮副俊彦代表取締役)

 ――歯科医院向け転職支援サイトのノウハウを活かして他分野に進出する予定は如何ですか。

 宮副 現在は、歯科医院向けと介護分野向けが、半々ぐらいになっています。起業したころは歯科医院向けが中心だったのですが、この1年半くらいで介護人材の転職支援サイトも軌道に乗り始めています。この分野は今、すごく伸びています。

 ――介護分野のどの職種でしょうか。

 宮副 ヘルパーや介護福祉士、ケアマネジャー(介護支援専門員)など、いわゆる介護職の方たちです。介護分野は、人材の流動性が高い。歯科の分野も流動性がすごく高くて、どちらも慢性的に人手不足ですから、我々にとってビジネスチャンスがあります。しかし、流動性の高さが人手不足の一つの原因にもなっているので、最適なマッチングをお手伝いすることによって定着率を高めていくことも社会にとっては大切なことだと思います。

 流動性が高いということは、その職場に満足していないことの裏返し。本当は100の力があっても50とか60の力しか発揮していないとすれば、その人も職場も不幸です。我々が、その人にマッチした職場を紹介することによって100に近づけていくことが実現できれば、マンパワー不足は少しでも是正されていくはずです。いずれにしても従事する一人ひとりが、能力を十分に発揮できる職場をきちんと紹介していかなければ、いつまでたっても人手不足のままです。そこには強い使命感を持ってやっていこうと思っています。

 ――中長期的には、歯科と介護を両輪にして、深掘りしていく計画ですか。

 宮副 両分野を軸に深掘りをしていきます。強みである歯科医院分野のプレゼンスにさらに厚みを加えていきます。集患と求人を押さえると、歯科医院の悩みの9割ぐらいをカバーできます。そうなると、歯科医院というドメインではおそらく何でもやれるようになると思います。求人サイトで首位固めをしながら、集患でプレゼンスをさらに高めていきます。

 介護に関してはボリュームが出てきましたが、市場サイズが大きい中でシェアそのものが取れているわけではありませんので、きちんと対応していきたい。いきなりナンバーワンとは言わないですが、介護の人材紹介では影響力のあるプレーヤーとして成長させていきます。

 ――介護施設の入所者集めにも繋げていくということですか。

 宮副 繋げていきたいと思います。歯科医院の分野ではマネタイズ(収益化を図ること)ポイントを作って、そこでの接点を活かして次のマネタイズポイントを作りだしていくことに踏み込んでいますが、この戦略フレームを介護にも当てはめていきます。

 ――ノウハウは容易に真似されないと思いますが、買収の危機はあるかもしれません。そのあたりの対応策はありますか。

 宮副 歯科医院の分野は市場規模が小さいので大手の参入や先行企業の買収はないと思います。ただ、介護の分野は市場規模も大きく、M&Aはあると思っています。それぐらいのポテンシャルがあるマーケットです。これまでの経緯を見ると、薬剤師や看護師、医師の転職マーケットが顕在化してくるとリクルートやマイナビなどが参入してきます。介護分野で大手が参入してくるまでに、どこまで当社の事業を広げておくかです。まだ事業拡大のチャンスが残っています。

 ――働き方改革によって、転職支援サービスの分野がますます広がってきますね。

 宮副 保育士の人材紹介サイトは東京でかなり勢いがあります。11月末に東証マザーズに上場したクックビズ(大阪本社・大阪市北区)も飲食店特化型の求人情報サイト運営を事業にしています。各分野において転職支援サイトは、将来的にも有望な事業になると思います。

 ――ところで、宮副さんは札幌で生活するのは初めてということですが、ビジネス環境などで何か感じることはありますか。

 宮副 誤解を恐れずに言うと、やや保守的な人が多いと感じます。学生と面談したり、採用活動をする中で少し安定志向の人が多いように感じます。もちろん優秀な人もたくさんいますから、札幌を拠点に選んだ当社としてはすごくチャンスだと日々感じています。
 もう一つ意外に感じたのは、前へ、前へ出て行こうとするベンチャービジネスの起業家や経営者が少ないということです。東京には、そういう人たちが多くて、それが活力になっている面もあります。優秀な学生が多いのですから、ベンチャー精神溢れる若者がもっと出てきても不思議ではないと感じています。
(終わり)


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