「ファーストコネクト」宮副俊彦代表取締役インタビュー①「私が起業した理由」

経済総合

 ――ところで話が前後しますが、会社設立の経緯から聞かせてください。

 宮副 独立する前に10年間、エス・エム・エス(SMS)という看護師の人材紹介が主力の介護医療系インフラ会社にいました。SMSが創業2期目の時に入社し、社員も10人くらいの規模でした。その会社は、10年間で東京証券取引所1部上場になり社員も2000人ぐらいの規模になりました。そこでは色々な経験をさせてもらいました。
 現在、私が事業をしているバックボーンのほとんどはそこで経験したことです。私は、そもそもSMSの創業社長に惹かれて、一緒に仕事をしてみたいと思って入社したのです。しかし、その社長は違うことにチャレンジしたいと途中で会社を退きました。創業社長と一緒に働きたいという目的がなくなったのです。会社が10人から2000人になっていく中で、会社も事業も素晴らしいし、職場としても決して悪いと思ったわけではありませんが、ベンチャーが1部上場企業になって、創業メンバーと経営陣が入れ替わった中で、なかなか表現が難しいですが、大事にしたいものの軸が、私の求めるものと違う価値観になっていると感じてきました。

 SMSから独立や転職をしていく人がたくさん出てくる中で、私も志や価値観を限りなく一緒にできる人たちと仕事がしたいと思うようになりました。社長をやりたいとか、起業をしたいというよりも、一緒に仕事をしたいという人たちに良いタイミングで出会うことができ、その人たちと大事にしたいものを大切にする組織を作りたいと思ったのが独立・起業する大きなきっかけです。

 ――大事にしたいものというのは、どういうものですか。

 宮副 SMSはまず利益が大前提にあって、利益を出して税金をたくさん払い社会に貢献していることを追求するのが正しいという会社でした。それは悪いことではないし、間違っているとも思いません。
しかし、人がどうしても一番、最後に来る。大企業とはそういうものかもしれません。SMSでは、人はインジケーター、指数なのです。人が手段のための手段という感じがして、何か順番が違うのではないかという思いが募っていました。

 ――もっと人を大事にしてそれぞれが能力を発揮できるような組織が必要だと。

 宮副 私自身、多くの時間を会社に使っていく中で、利益は大事ですが、気持ち良く働ける環境を作っていくことがもっと大切ではないかと思うようになりました。もちろん気持ち良く働けるためにはどうしても利益が必要です。利益には強くコミットしていますが、目的と手段を入れ替えたい思いがあったのです。
 ところがそこに重点を置きすぎる会社はすぐに潰れてしまいます。色々なことを犠牲にしながら利益を出さなければいけないことは確かです。でも人が一番ということにチャレンジし続けたいと強く思うようになりました。
(以下、次回に続く)

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