山下町長 新千歳空港を拠点に7空港のネットワークによって、北海道の隅々に旅客を届けることが期待される。インバウンドの取り込み、LCCの道内への就航を促すことが大きなポイントとみているが、貨物輸送にも期待したい。北海道は食料基地で、食文化も国内外で評価されている。こうした食を道外、世界に届ける役割も空港の持つポテンシャルの一つだ。
空港は交通の要衝だけでなく地域の公共施設、アミューズメントゾーンという見方も強まっている。航空機を利用する人たちだけではなく空港を楽しもうと訪れる人も多い。個々の空港の魅力を高めていく中で民間のノウハウを入れてもらいたい。運営権者のSPCにお願いをするだけではいけない。地域の魅力を高めること、2次交通など交通インフラを整備すること、観光ルートと結び付けていくこと――コンセッションが始まる2020年を待たずに、今の段階から地域で進めていかなければならない取り組みだ。
片岡副市長 函館は、北海道新幹線開業で北関東、東北との交流人口が増えている。インバウンドも新幹線を活用した仙台空港や青森空港との連携が可能になってきた。港はクルーズ客船が寄港しており、さらに大型クルーズ船に対応できる埠頭整備にも着手した。市が掲げる「北のクロスロード」としての役割が高まっている。
民間委託によって柔軟な料金体制が可能となって、新規就航や増便が期待できる。7空港のバンドリングによって今までは難しかった空港間の連携によるエアポートセールスも実施しやすくなる。今後さらなる広域観光の拡大に繋がると期待している。
ただ、函館空港は市街地と隣接しており特定飛行場と位置付けられている。周辺住民への配慮が非常に重要になっているため、SPCには配慮をお願いしたい。
瀬尾専務理事 北海道経済界のコンセッションの考え方は、アジアを中心とするダイナミックな動き、人の流れを北海道の中でどう作っていくのかということ。北海道全体の観光振興にどう繋げ、世界の観光地「北海道」にどう発展させていくかだ。
今回の民間委託の特徴は、7つの空港が一緒に手を携えていくバンドリング方式という点。この観点で運営権者のSPCの立場に立ってみると、7つの空港を運営する広域的な事業基盤を持つことに繋がる。広域周遊観光ルートを発掘、開拓、形成するメリットがあると考えている。広域周遊観光ルートを道内各地域に普及させていく橋渡し的な役割をSPCに期待したい。
2次交通の利便性が向上しないと広域周遊観光ルートは形成できないので、SPCと交通事業者との連携した取り組みが具体化することを期待している。
新千歳空港を中心に大量輸送をどう実現し、新千歳空港を拠点に道内各空港にどう人を運んでいくのか、さらに新千歳空港以外の6つの空港間でどう人の流れを作っていくのか。新規就航ルートを考えるには3つのアプローチで戦略を考えていく必要があると思っている。
複数空港の一括民営委託によって海外との時間距離が非常に短くなる。時間距離が短くなることは、働き方改革と合わせて考えると、道内の人たちのライフスタイルが変化することにも繋がる。是非、今回のコンセッションを契機に新しいライフスタイルの提案をSPCに期待したい。(以下、次回に続く)