(写真は、高田明氏)
3講目に立ったのは、ジャパネットたかた前社長で現在、AandLive代表取締役の高田明氏。『夢持ち続け日々精進』をテーマに講演した。高田氏は長崎県平戸市生まれで、大阪経済大学卒業後、得意の英語力を活かして機械メーカーに就職。23歳でドイツ駐在員になったが25歳でその会社を辞めて実家のカメラ店に入った。
そのころ、平戸は観光客が年間200万人も訪れ、ホテルや宴会場で撮った写真を翌日並べて売る商売が大繁盛。高田氏も父や兄と一緒に宿泊客の写真を撮り、夜にプリント、翌朝に販売する生活を続けた。30歳で佐世保市に支店を出し、観光地である嬉野温泉のホテルや旅館で宿泊客の写真を撮って販売する商売を中心に行っていた。「全国からお客が来るので、写真を買ってくれる人や、なかなか買ってくれない人の出身県などが分かるようになった。また戦友会のお客はたくさん買ってくれ、婦人会は渋く、公務員はほとんど買ってくれないことも分かってきた。仕事を通じて全国各地、各業界のマーケティングを行っていたことになり、それがテレビショッピングなどジャパネットたかたに活かせた」と高田氏。
買ってもらうためには良い写真を撮らなければならない。「例えば5人グループの写真を撮るとすれば、カメラに意識を集中して貰わないとだめ。そのために5人皆にいちいち声を掛けていたら、こんな高い声になってしまった」と会場を笑わせるトークも。
40歳からラジオショッピングをはじめ、その後はテレビショッピング、チラシ、ネットと広がり、メディアミックスのショッピングで年商1800億円の成功企業に。高田氏はこれまでの経験から「その時その時を一生懸命努力すれば必ず明日に繋がり、思う通りの自分になれる。今を生きることの大切さを伝えたい。皆さんは『そんなこと分かっている』と言うだろうが、多くは『そのつもり』になっているのではないか。もうひとつ大事なことは複雑に考えずシンプルに考えること」
高田氏は企業の目的はモノを売ることではなく、何のために事業をするのかというミッション(使命)だとし、ミッションを消費者に伝えることで業績は数倍アップすると強調した。
「どんなに素晴らしい商品でも伝わらないとダメ。最初のころは私も伝えたつもりになっていて、なかなか売れなかった。どうしたら理解して伝わるか。世阿弥が花伝書で書いた『我見』と『離見』を常に意識すると良い。我見とは自分たちの目で、離見は他者が見る目。それが揃えば伝わるようになる」と訴えていた。