異業種交流組織「一への会」(会長・渡邊克仁北都交通社長)主催による『2017北海道ニューフロンティア経営セミナー』が16日、札幌市中央区の京王プラザホテル札幌で開催された。『北海道経済成長の鍵』をテーマに観光、インバウンド、ネット販売について講師3人が講演、約1000人が熱心に聴講した。(写真は、講演するロス・フィンドレー氏)
最初は、『これからのニセコ観光開発とインバウンドのニーズ及び北海道観光への提言』をテーマに、ニセコ観光の立役者であるオーストラリア出身のロス・フィンドレー氏(NAC=ニセコ・アドベンチャー・センター代表取締役)が講演した。フィンドレー氏は、2001年の米国テロ事件をきっかけにオーストラリア人たちが安全なスキーリゾートを求めてニセコにやってきたのがニセコが海外から注目される端緒になったことを紹介。
雪質の良さが評価され、ニセコの名前が口コミで広がり、今ではオーストラリアのスキー人口約5万人のうち3分の1にあたる約1万5000人がニセコを訪れていると話した。
「日本はアベノミクスで2%成長を目指しているが、北海道はニセコノミクスで昨年もこの地域は8%成長を実現した。しかし、今年は調子に乗り過ぎてリゾート客が支払える金額を超えた宿泊施設が増えて、オーストラリア人は4%減になっている」と述べた。
この結果、宿泊料金の値下がりが起き、スキー場から近いところでも10%以上、離れたところでは50%も割引されているという。オーストラリアのスキーヤーたちはカナダのウィスラーに流れ始めたことも付け加えた。
ニセコ観光の今後について、同氏はニセコがインターナショナルになり過ぎた点を指摘、「ニセコの価値はパウダースノーと日本という価値だった。しかし、今はニセコで日本人と会うことが少なく、ホテルやレストランスタッフも外国人が多い。日本に来ている感覚がなくなってしまった」と話したうえで「1泊数十万円のラグジュアリーなホテルが多くなり過ぎている。リゾートにはバックパッカーが泊まる低料金のホテルも必要。誰でも来ることができるようにならないとリゾートとして発展性がない」と強調した。
ニセコ地区は倶知安町とニセコ町にまたがるが、「2つのマチで5~10年後のビジョンを作る必要がある。例えば北海道新幹線の倶知安駅をどのように環境と調和させてつくるのかなど声をあげても良い」と語った。
最後にニセコにさらに人を呼び込むヒントとして、「例えばボブスレーコースを作ったり、リゾート全体を行き来できるようにスケート専用道路を作ったりすると世界中から人を呼び込めるのではないか」と話していた。