北海道電力(本社・札幌市中央区)は25日、建設中の石狩湾新港火力発電所で使うLNG(液化天然ガス)を供給する石狩LNG基地(石狩市新港中央4丁目)のタンク屋根上げ作業を行った。タンクの底部から空気圧を使ってドーム型の屋根をゆっくり浮上させ、頂部に到達した時点で溶接固定する作業でタンク完成まで折り返し点の工事になる。(3号タンクの高さは59mと10数階の高層マンションとほぼ同じ=写真)
石狩LNG基地は、北海道ガス(本社・札幌市中央区)が運営している貯蔵施設。北ガス所有の1号タンクは2012年から運用開始されており都市ガスとして利用されている。北ガスは2号タンクも建設中。
今回、屋根上げ作業が行われたのは、北電が同基地内に初めて建設するタンク(3号タンク)で、貯蔵容量23万kl、直径約88m、高さ約59mの国内最大級。14年8月に着工し、今回中間点となる屋根上げ作業を迎えた。
(写真は、底部からゆっくりと浮上するドーム型の屋根)
ドーム型の屋根は、タンクの底部で昨年夏から建設していた鉄製の二重構造。重さは約2100tあって、これを空気圧で1分間に20㎝ずつ浮上させる。頂部の高さ43mまで上げて屋根の周囲約300mを96ヵ所の金具で溶接して固定する。
屋根上げ作業は、LNGタンクの建設工事では一般的な作業だが、建設の中間点に当たる節目の作業。北電の工事関係者は「ようやくこの日が来たという思い」と感慨深げ。完成は2年後の8月になるが「後半に向け気を引き締めて作業を続けます」と話す。
3号タンクには、近接するバース(船が停泊する場所)に着いたLNG船から導管でLNGが供給されて貯蔵される。このタンクから2㎞ほど西に建設中の火力発電所に地下を通ってLNGを供給する。19年2月から発電開始される1号機(56万kW)の2ヵ月分の燃料が貯蔵できる。北電では、4号タンクも6月に着工しており20年10月に完成する予定。
(写真は、3号タンクの遠景)