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 道が取りまとめ役で過去2年間に亘って各界・各層の有識者や経済人、市民活動家らが議論してきた北海道経済政策戦略会議を踏まえた「北海道経済活性化フォーラム」が1月25日、札幌市内の京王プラザホテル札幌で開かれた。同会議のメンバーである井上久志・北海道大学大学院経済学研究科教授は「北海道経済『創生』戦略」と題して約200人の出席者を前に自論を訴えた。(写真は、フォーラム会場)


 井上教授は、北海道の自己診断をやってみることを提唱、経営学では一般的な「SWOT」分析を紹介しS=強み、W=弱み、O=機会、T=スレット(脅威)を掲げてみると、課題は殆ど見えていると強調した。
 つまり、北海道は人口減少、高齢化、札幌一極集中、雇用などに課題を抱え、その対応策も道民の多くが共有しているとし、「大切なのは30~40年後から現在を振り返って今の何を変えていかなければいけないかを考える“バックキャスト”の経済政策だ」と述べた。
 中でもローカルイニシアチブがその支柱になる。地域に根ざした中堅・中小企業が主役になって「健康」「環境」「国際」の3Kをキーワードに改善ではなく創造が必須になると指摘した。
 井上教授は3Kが経済政策戦略会議のキーワードになる前に、「FBI」をキーワードにすることを主張したという。「Fはフード=食、Bはバイオ、IはIT。でも採用されなかった」と会場の笑いを誘う場面もあった。
 全国的に見て競争優位にあるのは、バイオ、IT、食関連だがいずれも道央圏に集中、「道内総生産の60%は道央圏。道北や十勝、オホーツクの生産の落ち込みは厳しい。人口が3~4割も減少する地域、地方では移住を中心にクラスターによる地域経済の再構築が不可欠。農業、観光、スポーツ、食品を絡めて行かなければならない。
ヒューマンタッチの政策が期待される」と言及した。
 クラスターは、かつて北海道経済連合会の戸田一夫元会長が提唱したが、今必要なクラスターは道民一人ひとりが自分で出来る範囲で地域経済の活性化に取り組むことに他ならない。
 井上教授は、最後にニューズウィークの特集記事『2012年の世界』を掲げ、その中で北海道が取り上げられ、新蝦夷共和国として北海道が日本から独立すると書かれていることを紹介。北海道新聞がかつて掲載した記事をベースに井上教授がコメントしているもので、「北海道が北海道らしい生き方で危機を乗り越えていくことを希望的に紹介しているが、北海道は世界のモデルになる可能性があるし、世界が期待している」と述べ、主役は道民、あまり頼らず自立せよと結んだ。


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