札幌証券取引所は12月30日、午後3時30分の取引終了後に年末恒例の大納会を行った。今年は新規上場が2年連続ゼロの結果に終わるなど、札証活性化に課題を積み残した1年だった。新年は、札証にとって正念場の年になりそうだ。
大納会には証券会社の支社長など約50人が集まった。伊藤義郎理事長は、この日はほぼ毎年海外へ出掛けているために欠席。代わって会員理事で地場証券会社の上光証券社長、松浦良一さんが挨拶を行った。
松浦さんは、「札証は今年60周年の節目を迎えた。北海道経済の活性化、そのインフラとして札証は様々な改革を進めているが課題を積み残した1年だった。来年も改革を順次実行していけば必ず実を結ぶと確信している」と語った。
今年1年間の札証の売買代金は、本則市場が28億6000万円、アンビシャス市場が9億8000万円でトータルは38億4000万円になった。売買代金は前年比54%の増加。しかし、この数字は昨年の落ち込みが大きかった反動で、札証の置かれている厳しい環境は依然として変わっていない。
もっとも、札証は昨年から資本市場会議を設置して改革を進めており、今年はその成果が徐々に見え始めてきたことは確か。そのひとつが札証への重複上場株式の増加だ。東証への一極集中の流れで道外に本社を置く上場株式の重複上場が減少傾向にある中で、敢えて道内企業に的を絞って重複上場を積極的に進めている。
上場審査料を無料にして店頭公開からジャスダックや東証上場へ“進化”した道内企業を「サケの遡上のように」(アークス社長野横山清さん)札証へ回帰上場させて、道内投資家との距離を近づけると共に上場を目指す道内ベンチャーや新興企業にインパクトを与えようというものだ。
道内企業の札証回帰は、東証一部のアークス、アンイファーマシーズ、ジャスダックのサッポロドラッグストアー、札幌臨床検査センターの4社になり当初の予想よりも多くの実績を残した。
ただ、札証へ重複上場しても商い数は増えておらず、回帰上場のメリットは精神的なもの以外それほど多くはない。
それでも札証の改革姿勢は、これまでの『動かざる札証』から『行動する札証』への印象を強くしている。道内投資家を対象にしたIRセミナーは今年12回、22社が実施、この数は昨年の倍になり、道内投資家にとって札証は身近な存在になりつつある。
来年は、こうした札証改革の実を結ばせて道内経済界に広がりつつある『札証存続派』と『札証廃止派』の二極分化に歯止めをかけることが求められる。中でも、2年間凍りついた新規上場を確保することが絶対条件になるだろう。
(写真は大納会で挨拶する松浦良一理事と三本締めを行う証券関係者)