国に先行して自治体が経済対策に動いている。従来、自治体が経済対策予算を策定するのは殆どが国に連動する場合で、独自に行うのは今まであまりなかったという。地域経済の疲弊が一段と深まっているためで各自治体や地域の経済団体も危機感を深めている。


札幌商工会議所の高向巖会頭は9月8日に上田文雄市長に緊急経済対策の実施を求める要望書を出した。高向会頭は「公共事業は減る一方でいかにマイナスを止めるかにあくせくしている状況だし、円高やデフレは経済全体のパイを縮小させる方向に進んでいる。北海道はこうした動きに抵抗力がなく全国と比べても更に経済は悪くなっている」と現状を分析、「私は北海道の先行きを非常に心配している」と危機を訴えている。
今回の市への要望書提出も、高向会頭の強い意思からの申し入れとなったものだ。
高向会頭が要望したのは、①公共施設の老朽化対策や道路舗装改修などを地元中小企業に前倒しで発注する②地域限定商品券の発行で地元商店街の支援。
中小企業は信用保証協会の緊急保証や金融円滑化法による金融機関への返済猶予で生き延びているのが実態で、来年4月に返済猶予が終了すれば、小康を保っている倒産件数も増えるのではないかと危惧されている。
札幌市では、9月21日から始まる第3回定例市議会に経済対策を盛り込んだ補正予算案を提出する考え。
今回の札幌市のように国に連動せずに独自の経済対策を盛り込む自治体は既に10県以上に及んでいる。
先行している石川県は県単独の公共事業として30億円を計上、茨城県も茨城空港を活性化させるために同空港を利用する外国人観光客向けにバス運転手や中国語の出来る人材を雇う雇用対策として19億円を予算化した。
民主党代表選やその後に誕生する首相によって閣僚交代も予想され、経済対策は思考停止の状態。そんな国を待てないとして各自治体が独自の地域経済対策に乗り出しているもので、それだけ地域経済は待ったなしの状態。札幌市に続き道にも独自の地域経済対策が急がれる。
(写真は札幌商工会議所が入る経済センター)

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