道内の企業倒産は小康状態を保っている。帝国データバンクが調べた7月の道内企業倒産件数は、前年同月比で10・7%減の25件(負債額1000万円以上、法的整理のみ)で負債総額も同42・7%減の54億4200万円だった。倒産件数、倒産金額とも3ヵ月連続で前年同月を下回っているという。
この数値だけから見ると、景気回復による倒産減少と見られがちだが、企業再生に詳しい橋本昭夫弁護士によると、「実態はまったく変わっていない。景気の低迷状態は依然として続いている」と言う。
倒産件数が減っているのは、金融支援策の効果が大きい。リーマンショック以降の麻生内閣時代の緊急保証や亀井前金融担当大臣による返済猶予策である金融円滑化法によって、企業の出血が止まっているためだ。
金融円滑化法による返済猶予はどのくらいの件数があるのか、道銀は6月末時点で中小企業2707件、額にして1125億円が返済猶予している。北洋銀行は、4780件、額は1204億円であることを明らかにしている。
金融円滑化法は、来年3月末で期限を迎えるが、返済猶予した案件は新規融資が受けられない。このため、来年4月以降は、返済猶予した中小企業が厳しい状態になると見られている。
緊急保証の貸し倒れもジワジワと増えている。緊急保証は、金融機関の中小企業向け融資を都道府県の信用保証協会が100%補償するもので、金融機関の融資先が破綻した場合は同協会が全額肩代わりするものだ。この緊急保証の肩代わり額(代位弁済額)は、制度開始の08年10月から今年6月までで全国で2131億円に達している。
今年に入ってからは、月間200億円ずつ貸し倒れが増えているというから中小企業にとって景気回復どころか悪化の一途。
北洋銀行の今年度道内経済見通しでは、実質経済成長率を0・2%と弾いている。しかし、経済実態をより正確に反映する名目成長率は、マイナス0・6%で10年連続のマイナス成長になるとしており、橋本弁護士の「実態は変わっていない」という発言が裏付けられている。
倒産形態が変化しているのも最近の特徴だ。破産が増えて民事再生が減っているのだ。その理由について橋本弁護士は、「一つは金融機関等が企業再生のノウハウを積んで法的整理を選択せず私的整理で再生する術をク_曚鵑任い襪海函・發Π譴弔鰐瓜・得犬濃・箸魴兢気垢襯好櫂鵐機爾・覆・覆・修譴覆い海函廚噺世Α・
民事再生は継承すべき技術やノウハウを持った破綻企業が選択する法的整理。民事再生に該当しない企業倒産が増えているとも言えるわけで、道内経済の足腰が弱っている一面を示していると言えそうだ。