建設業に欠かせない高所作業を行う鳶(とび)の専門会社が高級食パン専門店に参入ーー。恵庭市に会社があるニナイテックは10日、高級食パン専門店「め組の庭」(恵庭市泉町58)をオープンさせる。プロデュースしたのは、岸本拓也さん(45)。ニナイテックは、食パンで全国の街の賑わいを創出しようと取り組む岸本さんに接触、同氏の想いに共鳴して異業種に踏み込むことにした。(写真は、8日のプレス内覧会で新店を紹介するニナイテックの山田益巳代表取締役=左とベーカリープロデューサーの岸本拓也さん。岸本さんはこの日のために緑の衣装を探して購入したという)
(写真は、店舗前で記念撮影する店舗スタッフ関係者)

 ニナイテックは創業15年ほどの鳶専門会社。札幌市内を中心に全道で仕事をしているが、建設需要は底堅く業績は順調。しかし、コロナ禍にあって仕事を失った人たちもいることから、代表取締役の山田益巳さん(49)は地元の恵庭を盛り上げたいと新規事業を模索。行き当たったのがベーカリープロデューサーとして全国で店舗の開業支援をしている岸本さんだった。
「最初は胡散臭く感じたが、話をしていくうちに引き込まれていった。街に活気を吹き込みたいということでは共通しているので、プロデュースをお願いすることにした」と山田さん。

(写真は、焼き上がった食パンを取り出す作業)

 岸本さんは、外資系ホテル勤務を経て横浜・大倉山で「トツゼンベーカーズキッチン」を開業。2011年の東日本大震災で被災地支援としてベーカリープロデュースをしたことを契機に、13年にジャパンベーカリーマーケティング(本社・横浜市青葉区)を設立、18年から高級食パン専門店をプロデュースするようになった。

 岸本さんがこだわるのは、その地域に合った食パンの味とネーミング、そして店舗の印象を左右する看板などの色使い。岸本さんが言う。「恵庭はえびすかぼちゃ、花の街、ガーデニングで有名で恵み野という街もある。恵庭を盛り上げていく名前を考えていた時、ふと浮かんだのが『め組』という江戸時代の火消し。『め組』の役割は街を守ることで、『恵み』にも韻が同じ。それで『め組の庭』にした」
 看板や袋の色は緑に決めた。花の街に緑色が一番合うと考えたからだ。「実は緑というのは、私がプロデュースした約300店舗の中で鳥取の1店舗しか使っていない色だった。それだけ店舗に使うには難しい色。しかし花の街、恵庭にはこの色しかなかった。全国2番目の緑の店」と言う。

「め組の庭」で扱う食パンは2種類。プレーンの「め組のお恵み」(2斤税込み870円)と、大粒のサンマスカットレーズンが入った「レーズンガーデン」(2斤税込み1060円)。いずれも、国産バターと乳酸菌を加えた発酵バターをブレンドして使用、沖縄・奄美大島産の「花見糖」と海洋深層水とともに天日干しした琉球の塩を使っている。いずれもこの店舗のオリジナルレシピを使った食パンになっている。

 山田さんは、「私たちが子どもの頃はパンの耳は食べなかった。でも当店のパンは耳まで美味しく食べられる。恵庭の皆さんにこの美味しさを伝えたい。この店が少しでも恵庭を明るくすることに役立てばと思う」と話す。
「め組の庭」では、パート従業員など新たに17人が働くことになった。店長を務めるのは山田さんの夫人、智美さん。智美さんは、「目が回るような忙しさでしたが、皆さんに助けられてオープン日が迎えられる。美味しいパンを届けたい」と言う。1日200本の食パンを焼く日が明日から始まる。なお、「め組の庭」は、岸本さんが手掛ける食パン専門店としては全国206店舗目になる。
(写真は、「め組の庭」の店内)



57人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。