財務諸表から見た伊藤組の実相

経済総合


道内建設業の草分け、伊藤組土建の親会社的な位置づけの伊藤組。道内各地に土地資産を保有する同社の2010年3月期決算が、7月20日に公表された。
資産合計は169億3300万円。固定資産は159億4100万円でそのうち土地建物などの有形固定資産は116億6000万円となっている。投資等は41億2200万円。


負債の部では流動負債が45億5400万円、固定負債は88億500万円。
純資産の部を見ると、株主資本は20億7800万円でその内訳は資本金9億2600万円、利益剰余金14億1200万円。また、評価・換算差額等で14億9400万円を計上、純資産合計は35億7300万円となっている。
会社の安全性を図る指標の流動比率、固定比率、自己資本比率の3つを見てみよう。流動資産を流動負債で割り100を掛けたものが流動比率で、支払うべき流動負債に対して支払い手段となる流動資産がどの程度あるかを示す指標で一般的には120以上であれば健全。伊藤組の場合は21。
固定比率はどうか。自己資本を固定資産で割り100を掛け、100を超えていると安全とされる。設備投資と資金繰りのバランスを見るもので、伊藤組の場合は22。
自己資本比率を計算すると21%。この比率も一般的には30%必要とされている。貸借対照表の数字から計算すると以上のようになるが、業種によってこの比率も上下するため一概に「安全ではない」と言えないし、企業の財務を3点だけで即断することは出来ないものの、気になる数値ではある。
損益計算書を見ると、売上高53億9900万円、営業利益5億5200万円、経常利益3億9000万円となっている。ただ、特別損失として10億9200万円を計上したために、税引き前利益は5億6300万円の損失。当期純利益は法人税等調整額が6億4200万円のプラス計上になって、3600万円と赤字決算は免れている。
伊藤組土建は、道内建設業界が置かれている厳しい経営環境の中、必死のリストラによって生き残りを図っている。これに対して資産を多く持ち優良とされていた伊藤組も、経営数値で見ると「優良」とは言えない指標が見えてくる。

伊藤組は、北海道の発展とともに成長してきただけに、伊藤組の財務状況はそのまま北海道の財務状況を投影しているということができるのではないか。

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