国土交通省は訪日外国人観光客3000万人の早期達成のために、観光地の魅力度向上が不可欠とみており、その受け皿として2~3年後の実現を目指すカジノを含めた統合型リゾート開発(IR)を想定している。
統合型リゾート開発、つまりIntegrated Resortとは、ホテル、シアター、ショッピング、グルメモール、コンベンションホール、カジノ、ゴルフ場等のスポーツ施設、水族館などで構成されるリゾートのこと。


国土交通省の成長戦略の中には、『カジノ導入には様々な副次的効果(青少年への悪影響、マネーロンダリング等)が懸念されることから、外国人に利用を限定する、クルーズ船上でのカジノに限定して認めるといった条件も検討した上で、カジノを含めた統合型リゾート開発として参入を希望する外資などがあれば、法的措置を講ずることも含め慎重に検討する』と書いている。
これを受けて、大阪府では、大阪府内に統合型リゾートを立地する場合の課題や対応などについて幅広く検討するために、有識者による『大阪エンターテイメント都市構想推進検討会』を設置、神奈川県や和歌山県、沖縄県は共同で『カジノ・エンターテインメント研究会』を設置しており、カジノ合法化に向けた課題や方策を3県共同で調査研究し、カジノ実現に向けた取り組みを推進している。
訪日観光客3000万人達成の大きな原動力になると見られるのが中国人観光客だ。とりわけ、北海道は中国人観光客が現在でも多くを占めており、全国的にも驚きをもって見られているという。
北海道でもカジノに向けて自治体や民間の研究会があるものの、今回の国土交通省の成長戦略を受けた動きは鈍い。中国での北海道ブームや豊かな自然、豊富な食材など北海道はまさに統合型リゾートの最適地の条件を備えている。
国土交通省では、統合型リゾート開発のために3ヵ所の特区を認める方向で、2つは東京や大阪といった人口集積地が想定されているという。もう一ヵ所はこうした人口集積地とは違うロケーションでの開発が見込まれている。
観光を経済のリーディング分野に育てる意向を示している道や道内経済界は国土交通省に向けて特区の働きかけを積極的に行うべきだろう。中国人観光客をさらに増やしていくためにもこうした受け皿は必要なのではないか。

この記事は参考になりましたか?