札幌はホテル開業ラッシュが続いている。
08年10月のJRイン札幌(189室)以降、09年6月ホテル京阪(200室)、同月メルキュールホテル札幌(285室)、10年6月三井ガーデンホテル札幌(247室)、同月ホテルルートイン札幌(389室)、さらに10月にはベストウエスタンホテルズチェーンが新ホテル(270室)開業と続く。
札幌のホテル業界は、エージェント主導で集客しており、観光シーズンのオンとオフの差が激しいため、もう数十年も前から宿泊価格のダンピングが問題になっていた。
しかし、こうした札幌のホテル市場の特殊性を知ってか知らずか、本州ホテル資本を中心に新設ラッシュはずっと続いてきている。
迎え撃つ既存ホテルは、よほどの特徴を出さないと生き残りさえ難しい状況に陥っている。
それを裏打ちするようなデータがある。かつてホテルアルファとして経営されていた関兵精麦(仙台)所有のホテルがホテルオークラ札幌になってから9年だが、ホテルオークラ札幌の前3月期は債務超過状態だ。資産3億1400万円に対して負債は5億8600万円、差し引き2億7100万円の純資産のマイナス。
また、札幌グランドホテルや札幌パークホテルなどを運営しているグランビスタホテル&リゾートの前3月期決算は、ホテルの本業で5億500万円の赤字になった。さらに営業外の損失を加えると12億9800万円の純損失を計上している。
こちらもホテルオークラ札幌と同様に債務超過状態。資産349億8800万円に対して負債は367億1200万円で差し引き17億2300万円の純資産のマイナス。
ホテルオークラ札幌にしても札幌グランドホテルにしても札幌を代表するシティホテルがストック、フローの両面で赤字、儲かっていないのが実情なのである。
このままでは、札幌ホテル文化が存亡の危機を迎える。
(写真は札幌グランドホテル)