「コンクリートから木へ」のネックは加工技術

経済総合


北海道には554万㌶の天然森林があって、全国の4分の1を占めている。食の大国とか農業王国などといわれるが、北海道は緑の大国でもある。
道庁では、豊富な森林資源を生かして施設の木造化や木質化を積極的に進めている。ロシアからの木材輸入が減少していることも追う風になっているという。


道有施設のうち124施設で木造・木質化が実現したそうだ。民主党政権は「コンクリートから人へ」を公共投資のキャッチフレーズにしているが、道庁はこれをもじって「コンクリートから木へ」をうたい文句にして木材利用の促進を官民一体になって進めていくことにしている。「地産地消」ならぬ「地材地消」という訳だ。
道産カラマツの建築材への利用も徐々に進んでいるものの、目下のところカラマツは輸送用梱包材としての利用が8割に及び付加価値という面では見劣りする。カラマツを使った住宅は平成20年度で620棟あり、付加価値も高く健康にも効果が見込めるため政策誘導でカラマツ住宅を増やしていく環境を整えていくという。

商業施設でも木材を使った店舗を作る動きが出ており、生活協同組合コープさっぽろは10月オープン予定の札幌市手稲区の西宮の沢店を木造店舗にする意向だ。
しかし、道庁の進める木材利用には大きな問題点が残っている。建物の構造用に使う集成材を作る木材加工技術が道内には十分に育っていないからだ。
「北海道は素材に恵まれているがそれを加工する技術がない」とよく言われが、木材も同様で素材はあっても加工する技術がないから、素材を本州に供給して付加価値のある集成材を“逆輸入”しなければならない。コープさっぽろも集成材を秋田から取り寄せて作るという。施工するのは帯広に本社がある宮坂建設工業。

製造業が弱いと言われる北海道は、一次産品の加工技術も見劣りする。加工や製造技術は一朝一夕には育たないから、時間を買う意味でも全国ナンバーワン企業にインセンティブを与えて誘致を進めることが必要ではないか。

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER