道内でベンチャー企業の発掘、支援活動を2000年から展開しているNPO法人札幌ビズカフェは27日、ボードメンバーが若手経営者らに世代交代し新たなスタートを切ったことを記念するセミナーを開催した。一般社団法人テレコムサービス協会との共催で『スタートアップイニシアチブinEZO』と銘打ち、道内外から起業家やベンチャーキャピタルなど約70人が参加して札幌証券取引所2階会議室で行われた。(写真左は講演する土井尚人氏、写真右はパネルディスカッション)
冒頭、新代表理事になった石井宏和Neeth社長が挨拶、「ビズカフェは15年目に入りボードメンバーは30代に世代交代した。ニュービジネス・フロム・ニュースタイルのキーワードを堅持して北海道にベンチャーが育つ風土を参加者とともに創りあげたい」と語った。
講演では前札幌ビズカフェ副代表で北大発バイオベンチャー・イーベック社長、経営技術を伝授するインキュベーターベンチャーのヒューマン・キャピタル・マネジメント社長の土井尚人氏が登壇、『北海道におけるベンチャーマインドの醸成とグローバルベンチャーの育成を目指して』をテーマにスピーチした。
土井氏は、「5~10年後のあるべき姿が明確になっている企業は成功している。あるべき姿と現状を分析しそのギャップを埋めるために何をすべきかをマネジメントするのが起業家の役割だ」と述べ、土井氏が心酔するドラッカーの言葉を引用、「私はドラッカーの『すでに起こった未来』や『変化は常態』といった7つの機会を重視してベンチャー企業を創ってきた。ドラッカーも言っているように未来を予測するのは難しいが、自分で未来を創ることはできる」と強調、集まった起業家や学生たちに奮起を促していた。
続いて『ベンチャー企業が誕生し成長するには』をテーマに札幌ビズカフェ事務局長で弁護士・公認会計士の杉山央氏が進行役になってパネルディスカッションが行われた。
ガンホー・オンライン・エンターテイメント新規事業開発室室長の橋本裕之氏は「熱意を超えたような妄想力が起業で成功するには大事だ」、エコノス社長の長谷川勝也氏は「どこまで腹を括れるかが分かれ目になり、ベンチャーキャピタルなど叱咤してくれる理解者の存在も成長には必要だ」と語った。
また、前出の土井氏は「期限を明確にして覚悟を決めること。そしてこれ以上はリスクを負えないという限度をあらかじめ決めておくことだ」、北海道ベンチャーキャピタル取締役の桶川幸一氏は「トップを補佐する有能なナンバー2がいる企業は経験から言って間違いなく成長する。また、数値目標とタイムスケジュールが明確になっている企業も成長する」、作業服のプロノを展開するハミューレ取締役管理部長の殿村寛司氏は「私は過去3回、身体を張って社長の決断を止めたことがある。給与が半分になったり半年間口をきいてもらえなかったこともあるが、トップの意向を尊重しつつダメなことはダメと言うことが大切」とそれぞれ語った。
セミナーでは、若手起業家のプレゼンテーションなども行われた。