札証が北洋銀・道銀・道内23信金とIPO(新規株式公開)で協力協定、年間複数社上場目指し数年内に単独15社から倍増へ

経済総合

P1150543 札幌証券取引所は28日、地元企業のIPO(新規株式公開)によって地域経済活性化を図る目的で北洋銀行、北海道銀行、道内23信用金庫でつくる一般社団法人北海道信用金庫協会と個別に提携した。地方証取が金融機関とこうした連携体制を構築してIPOを促進するのは名古屋証取が先行しているが、信金は入っていない。札証は、道信金協会を通じて各信金とも連携することによって道内津々浦々までIPOのメリットなどを浸透させ、年間複数社のIPO実現を果たしたい意向(写真は、左から杉山信治道信協会長、堰八義博道銀頭取、小池善明札証理事長、石井純二北洋銀頭取、松浦良一日本証券業協会北海道地区協会会長。札証提供写真)
 
 28日、札証で北洋銀石井純二頭取、道銀堰八義博頭取、道信協杉山信治会長(旭川信金会長)が札証小池善明理事長と協力協定書をそれぞれ取り交わした。
 
 札証は2009年に金融機関などと北海道資本市場会議を設置して札証活性化を議論してきた。当時は、伊藤義郎前理事長のころで、リーマンショック後ということもあって経済界を中心に“札証不要論”が出てくるなど逆風の時代。金融機関の間でも札証への関心は薄く、証取という資本市場のインフラが北海道から消滅する寸前だったが、資本市場会議の設置で東証やジャスダックに上場している道内企業の札証重複上場促進、アンビシャス市場の上場緩和策などが提言され、11年5月にJR北海道出身で財務に強い小池理事長の就任によって、活性化策に弾みが付き徐々に札証の存在感が高まっていった。
 
 金融機関の株式公開支援(市場誘導業務)が認められるようになったこともあり、IPOに向けた札証と金融機関の協力体制構築も同会議で打ち出されていたが、北洋銀の公的資金導入やそれに伴う低金利競争など道内金融界の足並みも揃わず機運は熟さなかった。しかし、日銀による異次元金融緩和と「アベノミクス」によってデフレ脱却、景気回復期待が高まってきたことや北洋銀の公的資金完済によって各金融機関とも攻めのマインドが醸成、「念願の協力協定」(札証関係者)実現にこぎつけた。
 
 具体的には、札証と各金融機関が個別にIPO向けた相談や情報提供サポートを行っていくとともに、金融機関、弁護士、公認会計士、監査法人、ベンチャーキャピタルなどをメンバーとするIPO勉強会を立ち上げ、道内各地でセミナーを実施していく考え。
 
 北洋銀石井頭取は、「この3年間で道内企業数は約1万3千社減っている。地域が元気になるには起業が大事。札証との連携で核になる企業を育成したい」と語り、道銀堰八頭取は「道銀どさんこファンドでこれまでに4社が上場している。融資・投資両面で企業をバックアップしていきたい」と述べた。道信協杉山会長は「信金は横の繋がりが強いのでその連携力を活かして上場を目指す企業を発掘、地域経済を支えていきたい」とした。
 
 札証単独上場企業数は、本則が10社、アンビシャスが5社。道内企業はIPO先としてジャスダックやマザーズを上げるケースが多く、札証をステップアップ市場として如何に浸透させるかがカギになりそうだ。

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