公益社団法人北海道観光機構会長の唐神昌子氏(トーホウリゾート代表取締役)。2025年1月に急逝した小金澤健司会長(当時)のもとで副会長を務めていた唐神氏だが、2025年6月、後継会長に就任した。ホテル旅館業界から会長に就任するのは、2008年に機構が誕生してから初、女性会長も初。主婦の立場から実父(故・唐神邦夫氏)の事業を引き継いだ異色の経歴だが、北海道観光に掛ける情熱は、邦夫氏を上回るほどの熱量。そんな唐神会長の手腕が試されるのは、道が、2026年4月から徴収を始める宿泊税への対応。機構と行政が両輪となった観光振興に、どう道筋をつけることができるか、インタビューした。
(からかみ・しょうこ)1969年胆振管内虻田町(現洞爺湖町)生まれ、2008年トーホウリゾート創業者である父の唐神邦夫氏の逝去を受けて、専業主婦から専務取締役に就任、2009年代表取締役。2012年登別観光協会(現登別国際観光コンベンション協会)会長、2022年日本旅館協会北海道支部連合会会長(現在副会長)、2023年北海道観光振興機構副会長を経て2025年同機構会長。56歳。
──小金澤前会長は組織改革に大鉈を振るいました。当時、唐神さんは副会長でしたが、前会長時代の2年半で何が変わったか。
唐神 私は観光地づくり部会を担務していましたが、全体的にすごく分かりやすい組織になったと感じました。担当分野ごとに責任者を決め、その人と話をすれば物事の進捗がすぐに分かった。誰が何をやっているか、目的と実行、効果がすごく見えやすくなったのは、小金澤さんの大きな功績だと思います。
──新会長に就任されて、最初にしたことは。
唐神 北海道観光機構(以下機構)全体を見る立場になって、まずは自分たちの組織を知らなくてはいけないと考えました。組織を身近に感じて仕事をしたい。それで事務所の真ん中に椅子と机を置いて仕事をするようにしたんです。今、役員室は、会議室になっています(笑)
──「なんで会長がここにいるんだろう」と思われたのでは。
唐神 多分そうだと思います(笑)。基本的に人が好きですし、機構は出向者が多いので、それぞれを理解するには、フロアの真ん中にいるのが一番早いだろうと。
──本業も忙しいのでは。
唐神 会社に戻ることもありますが、懸案の宿泊税の一件もあり、週3日以上は機構にいます。
──副会長を3人から4人に増やし、部会も一つ加えた。
唐神 新しく観光インフラ部会をつくりましたが、そこでは、観光にかかわる人材育成やMaaS(※マース=鉄道やバスなどすべてのモビリティにかかわるサービスをワンストップで提供すること)などについて議論しています。これによって部会は、「観光地づくり部会」「マーケティング部会」「プロモーション部会」「観光インフラ部会」の4つになり、副会長も4人になりました。
──観光インフラ部会では、人材育成がテーマの一つとか。
唐神 未来を担う観光人材を育成することを手掛け始めています。例えば、接遇をする方たちや和食の職人などをどう増やしていくかなどについて、協議や手はずを進めています。
──Maasについては。
唐神 機構内に優秀な職員がいるので、AIを活用したMaasの取り組みの実証実験をこれからスタートするところです。現状のMaasは、アプリなどでデジタルチケットを買うことなどに焦点が当たっていますが、それらは単なる一つのコンテンツ。私たちは、全体を見た大きい箱の中に、そうしたコンテンツを全部入れようと。例えば、私がどこかに行きたい時、AIでそこに行くための交通手段や現地の名物、見どころまでを一気通貫でアナウンスできるようなプラットフォーム的な機能です。機構が、必要なモノをプラットフォームの中に入れこんで、活用できるようにすることを目指しています。



































