公益社団法人北海道観光機構(事務局・札幌市中央区)は2025年6月23日、札幌市中央区の札幌グランドホテルで令和7年度通常総会を開催した。小金澤健司会長の死去に伴い、同年5月23日の同機構理事会で後任会長に選任された唐神昌子氏(トーホウリゾート代表取締役副会長)は、出席した会員や関係者など約120人を前に、初の会長挨拶を行った。文字通り、会長デビューとなった唐神氏の肉声を全て掲載する。(写真は、通常総会で挨拶する北海道観光機構・唐神昌子会長)
皆さま、こんにちは。先日、理事会の皆さまのご承認を得て、新しい会長に就任させていただくことになりました。小金澤会長が今年1月にご逝去されて以降、会長不在の期間が長く続き、北海道の観光業を含む経済界の多くの方々には、ご心配とご不安の日々が続いていたと思います。ここまで多くの先輩が、北海道観光の振興のためご尽力され、さらなる発展と改善に向け、全身全霊を捧げて取り組んでこられた小金澤会長の後を受け、大役を仰せつかることは、身の引き締まる思いです。
私は、ある強い思いと覚悟のもとにこの大役を果たしたい。生まれてから、今日までずっと観光業に携わってきました。若い頃は違うことにも興味を持ち、別の世界を考えたこともありました。北海道観光のことばかり考えていた父の存在が大きく、気づけばいつも観光のこと、北海道のことが頭にありました。当時から現在まで、実現させたい北海道観光業界の姿が、私にはあります。
その一つが、地方の発展なくして観光事業者の発展はないということ。これは、父の言葉です。北海道という地域は広く、さまざま地方にさまざまな自然が、さまざまな人が、さまざまな文化が存在します。これだけで観光業にとってみると、とてつもなく大きな強みで、北海道ならではの魅力です。北海道に長年住み、観光に携わる私たちも見たこともない風景、吸ったことのない空気、未体験のコンテンツ、味わったことのない食、触れたことのない文化、感じたことのない人の温度が、地方に存在します。
そんな地域は、日本はもとより世界的に見てもそうそうありません。このことを、改めてしっかり把握分析し、地方発展を考えたオール北海道観光という認識を持っていきたい。この発想には、札幌の都市観光をしっかり推進していくことも不可欠です。東京や大阪といった都市観光を楽しむ旅行者にとって、札幌は、引けを取らないようにしっかり集客し、そこから北海道の地方観光に広げていく、要は、誘客分散ということが重要になってきます。