札幌市や小樽市など「さっぽろ連携中枢都市圏」の11市町村は、公益社団法人北海道観光振興機構と連携、旅先でふるさと納税を行う「旅先納税」の返礼品として、11市町村の飲食店や観光施設で使える共通電子商品券(名称・さっぽろ圏e旅ギフト)を発行する取り組みを、2024年2月1日から始めた。ふるさと納税は、納税先自治体の特産品などを返礼品として受け取る配送型が多い中、今回の返礼品は、旅先の飲食店や観光施設で使える体験型となっている。(写真は、さっぽろ連携中枢都市圏での「旅先納税」導入の記者会見)
(写真は、「さっぽろ圏e旅ギフト」のデモ実演)
今回の「旅先納税」の仕組みは、eギフトプラットフォーム事業を展開しているギフティ(本社・東京都渋谷区)が開発した、スマートフォンを利用した「e街プラットフォーム」を、道観光振興機構が採用して実現した。旅行者が、スマホで11市町村から寄付先の自治体を選ぶと、11市町村の加盟店で利用可能な共通電子商品券「さっぽろ圏e旅ギフト」が、寄付額の3割分の返礼品として即時に受け取ることができる。この電子商品券は、11市町村の飲食店、体験施設、宿泊施設などの加盟店206店舗(2024年2月1日現在)で、精算時に利用できる。寄付額は、1万円から300万円まで(市町村によって異なる)。
電子商品券の受け取りや利用の際は、アプリをダウンロードする必要がなく、1円単位から使える。決済方法は、二次元コード認証と電子スタンプの2種類があり、加盟店ごとに違う。道観光振興機構は、このサービスの加盟店募集や管理業務、精算業務、プロモーションなどの事務を行い、手数料収入を得る。さっぽろ連携中枢都市圏のうち千歳市は、2022年9月に先行して「旅先納税」を導入しているため、今回は参加を見送ったが、道観光振興機構では、新千歳空港での活用が多いとみて、早期に今回のフレームへの参加を働きかけていく。旅先納税の納税額は11市町村全体で数億円を見込む。
この日、札幌グランドホテルで行われた導入会見で、道観光振興機構の小金澤健司会長は、「当機構は、2022年6月から北海道観光のさらなる発展のため改革プロジェクトを実行に移してきたが、その一つとして、今回の旅先納税の取り組みを開始することにした。北海道における新たな広域観光推進モデルとなるよう運営していきたい」と話した。
天野周治札幌市副市長は「2019年3月にさっぽろ連携中枢都市圏が形成されたが、構成市町村には、まだ知られていない魅力がたくさんある。旅先納税によって、さっぽろ圏のファンを増やしていきたい。札幌市のふるさと納税が増えることを期待している」と述べた。ギフティの森悟朗常務執行役員は「これまでふるさと納税の恩恵がおよばなかった地域や事業者にもスポットが当たり、地域を考えるきっかけに繋げられたら」と語った。
旅先納税は2019年11月にスタートしたが、コロナ禍で広がらなかった。昨年以降、旅行需要が回復してきたため導入自治体が増え、今回の11市町村を含めて全国53自治体が導入している。観光DMO(観光地域づくり法人)が事務局を務めて、複数自治体が広域連携して「旅先納税」を導入、共通返礼品として電子商品券を発行するのは、京都府北部7自治体に続き、今回が全国2例目となる。
今回の旅先納税ができるのは、札幌市、小樽市、岩見沢市、江別市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村、南幌町、長沼町の11自治体。そのほか、道内では猿払町、伊達市、倶知安町、利尻富士町、白老町、積丹町、厚沢部町、天塩町、黒松内町、斜里町、北見市が単独自治体として導入している。