倶知安観光協会・吉田聡代表理事インタビュー「コロナ禍2年、北海道ニセコの今とこれから」

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 ーー2022年以降、観光協会はニセコエリアの魅力をどう発信していきますか。

 吉田 一番のポイントは、ワーケーションだと思います。施設は、国内随一で他のリゾートの追随を許さない。この面では、大きなアドバンテージがあります。ワーケーション誘致のためには、夏の涼しさと食の充実をもっと発信していかなければならない。今年4月には、新しいアクティビティとして、ニセコHANAZONOリゾートに北海道で一番長い「ツリートレッキング」、「ツリーウォーク」の施設も完成しました。この地区の観光カリスマ、ロス・フィンドレーさんが監修して設置したもので、エストニアの3Park社から専門の技術者を招へいし、HANAZONOの森と調和するように一つひとつ手作業で造り上げたものです。
 また、9月には8回目となる自転車ロードレースの「ニセコクラシック」には、今回ANAが冠に付きますから大いに期待しています。ANAは昨年から取り組んでいますが、昨年は中止になったので今回が初めてのANA開催になります。ロードバイク系に親しんでいる人たちは購買力が高いですし、家族も一緒に来ますから期待しています。夏場にスキー場のゴンドラを動かしてマウンテンバイクを乗せてスキー場のてっぺんまで行って、林道を自転車で走ってくるイベントを昨年は開催したのですが、今年は中止になりました。自転車系は、ロードバイクとマウンテンバイクの2枚看板を、ニセコの売りとして発信していきたい。
(※2021年8月25日、ニセコクラシック実行委員会は道の緊急事態宣言発令を受けて21年9月に予定していた大会の開催を中止することを決めました)

 ーー後志自動車道が2027年度頃に、北海道新幹線が2030年度にそれぞれ開通しますが、期待度はいかがですか。

 吉田 北海道新幹線と後志自動車道が開通して以降、倶知安地区が良くなるのか悪くなるのか、正直わかりません。もしかしたら、倶知安から人口が流出する可能性もあります。期待と不安が入り混じっているのが本心です。
 新幹線開業で在来線の存廃が最大の問題になってきます。JR北海道は、例えば札幌から余市までの区間を本州の私鉄などに売却して、沿線の不動産開発などを手掛けてもらうアイデアがないのかという気がします。そうすれば、在来線を残せる可能性が出てくるかもしれない。余市は、これから観光地として化けると思うし、ネーミングから言ったら銭函も期待できます。銭函、余市、仁木はこれからワインツーリズムで必ず脚光を浴びてくるでしょう。仁木まで在来線を伸ばすんだったら、倶知安、ニセコまで在来線を存続させる可能性も出てくるかもしれません。そういったアプローチをJR北海道にはしてほしいですね。
 ただ、小樽まではドル箱だからJR北海道は離さないでしょう。しかし、小樽から余市の区間だけだったら収益的には厳しいので、私鉄も話には乗ってこないでしょう。在来線を残すとしたら、札幌から余市まで売却するようなウルトラCでやらないと無理だと思います。

 ーー世界のスキーリゾートに向けて開発が進んできたわけですが、北海道新幹線開通によってアクセスに変化が出てくるのではないですか。

 吉田 私は、函館のプレゼンスが上がってくると思います。函館空港の利用価値が今後上がってくるでしょう。函館空港から自動車専用道を使えば、新函館北斗駅まで20分ぐらいで行けます。新函館北斗駅から新幹線で倶知安まで30分もかからない。そうすると千歳より函館からのアクセスがずっと向上します。私個人としては、函館の観光協会と今後、パイプを太くしていくのが良いと考えています。

 ーー今までは札幌、千歳のからのルートが中心だったのが、これからは変わっていくと。

 吉田 ニセコ地区をバス発着のハブ基地にして室蘭方面、洞爺湖方面に向かうルートを構築すれば、今後は長万部と競い合わないといけなくなるかもしれません。いかに魅力的なバスのハブターミナルを構築できるかが鍵になってくるでしょう。

 ーー新幹線駅と高速道路のインターチェンジが全国で一番近接するのが倶知安ですね。

 吉田 新幹線駅と高速道路のインターチェンジが、ほぼ直結するような地域は、全国でも倶知安だけになるはずですから、いかにこのポテンシャルを生かせるかが課題です。ニセコ地区から洞爺、登別、ルスツと4つのリゾートを結べることを有効に生かすべきです。4観光地への展開をいかに密にできるかでしょうね。北海道観光振興機構との連携も密接にしたいのですが、当協会と同機構との関係は必ずしも太くありません。せめて倶知安観光協会の役員が、機構の理事に名を連ねたいのですが、実現していません。幸い、今の小磯修二会長は、この地区への理解が深いので、連携が進むことを期待しています。
 ーー本日はありがとうございました。
※2021年8月25日、記事一部修正しました。

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