秀峰羊蹄山は変わらぬ姿を見せている。コロナ禍で我慢の時が続くリゾート地ニセコ。観光客の姿はなく、行き交うクルマも数えるほど。そんな中、コロナ後を見据えた動きが続いている。5億円を超える高級分譲ヴィラが集う「パノラマニセコ」も、コロナ前と変わらぬ国内外顧客への販促を展開、販売実績を積んでいる。「パノラマニセコ」は、踏ん張るニセコの現場を象徴している。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。

(写真は、「パノラマニセコ」のショーヴィラ2階から見える羊蹄山)

「パノラマニセコ」は、倶知安町山田57他のヒラフ東地区の約4300坪を利用して整備されたコミュニティ。5億円台のヴィラ11棟と4億円台のタウンハウス1棟(3戸)、クラブハウスからなり、敷地中央には東屋のあるアートパークを配している。2017年12月から、地元の不動産販売会社ニセコリアルエステートが分譲を開始。20年10月には全施設が竣工した。設計は、「札幌ドーム」や「木ニセコ」、「綾ニセコ」を手掛けた石黒浩一郎氏、建築主は丸海(札幌市中央区)、施工は匠和建工(同市西区)。電線は地中化して景観を損なわないようにしている。

 現在までにヴィラは8棟、タウンハウスは2戸が売却された。オーナーは、外国人が多いが日本人もいる。オーナーたちは自分たちで利用するとともに、使わない期間は貸別荘として貸し出している。コロナ前までは海外富裕層のファミリー7~8人がメイドを連れて宿泊するケースが多かったというが、昨年3月以降はそうした姿も見られなくなった。

 時間が止まったような「パノラマニセコ」だが、ニセコリアルエステートの森広浩二郎販売管理部部長は「コロナ禍でも国内外から物件の引き合いは以前と同じほどあります。メールでの問い合わせも毎日来ています。首都圏に住む国内客の内覧希望も増えています」と話す。

 ショーヴィラとして内覧できる「ヴィラD」は、2階建て延べ床面積約95坪(約315㎡)。寝室は4部屋、天然温泉のバスルームは露天風呂を含めると6浴槽、トイレに至っては7ヵ所にも及ぶ。照明や絵画などは、道内の若手作家の作品を使っている。2階のダイニング・リビングエリアは、天井が高く梁が少ない構造で、大きな窓からは羊蹄山を望め、尻別川の川面もすぐ近くに見ることができる。

「ニセコアンヌプリも望むことができるので、文字通りのニセコのパノラマビューが魅力です。コロナ禍の中でも売却が決まりましたし、国内外の人たちが寄せるニセコへの愛着は変わっていないと感じます」(森広さん)。この日、羊蹄山の山頂にはうっすらと雲がかかり青空をバックに神々しさを増していた。窮屈な生き方を強いられている人たちの心に分け入ってくるように。
(写真は、高級ヴィラが並ぶ「パノラマニセコ」)
※2021年6月21日記事一部修正しました。


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