企業再生支援機構の支援を受けて再生を目指すことになった札幌グランドホテルやパークホテルなど全国22ヵ所でホテル・旅館を所有運営するグランビスタホテル&リゾートだが、同機構の経営陣にかつて旧三井観光開発時代に社長を務めた吉村仁氏(55)が在籍している。今回の機構入りに吉村氏の働きがあったのかどうかは定かではないが、グランド、パークの実状を熟知する吉村氏の存在は再生に一定程度の役割を果たしそう。(写真は、吉村氏が社長時代にリニューアルした札幌グランドホテル)
吉村氏が同ホテルなどを運営していた旧三井観光開発の社長に就任していたのは、2005年11月から07年6月までの1年半。
旧三井観光の経営が大和証券SMBCプリンシパル・インベストメント(略称PI)に移った際にヘッドハンティングされて社長に就任した。
吉村氏は、砂川市出身で1956年10月31日生まれ。札幌南高卒から慶大大学院工学研究科修了(工学博士)の後、三井物産に入社している。物産時代には米スタンフォード大経営大学院でMBAを取得している。物産を退社して、日本ゼネラルエレクトリック企画開発部ディレクターやGEキャピタルリーシング取締役マーケティング本部長などを経て三井観光社長に就いた。
PIから吉村氏に与えられた再建の期間は3年間。グランドやパークに30億円を投じてリニューアルするなどハード面でイメージ一新を図ったが、その過程でプロパー社員やホテルマンとの軋轢も増大、幹部社員が去るなど内部統制が利かなくなってきたこともあってわずか1年半で事実上解任された。
同社関係者の多くは、その後の吉村氏の消息を知らなかったが、今回の企業再生支援機構の執行役員として吉村氏が在籍していることが分かったという。
吉村氏がグランビスタの再生に関わるかどうかは不明。ただ、PIと違って機構の再生手法はファンド的な再生とは一線を画しており、吉村氏に全く出番がないということにはなりそうにない。
機構は3年後にグランビスタを再生させて売却するが、立て直しにはトップの人選が最重要。機構が内外に再生をアピールしていくためにどんなトップを招聘し、その際に吉村氏が関わっていくのかどうか関係者の注目が集まっている。