北海道の秋の味覚が札幌市の大通公園に集まる「さっぽろオータムフェスト」が道内外から観光客を呼び込む秋のイベントとしてすっかり定着してきた。4回目の今年は9月16日から10月2日までの17日間開催され、来場者は130万6000人と過去最高を記録。このオータムフェストの運営を巡って広告代理店業界が早くも水面下で動き始めた。テレビや新聞チラシなどの広告が落ち込む中、公的イベントは広告代理店業界にとって大きなビジネスチャンス。来年のコンペに向けて各社とも智恵を絞り始めている。
札幌を訪れる道内外の観光客は、8月をピークに翌年2月の雪まつりまで客足が遠のいてしまう。この6ヵ月間に目立った観光イベントがなかったためで、札幌観光の端境期とも言われていた。
「オータムフェスト」は観光イベントの空白期間だったこの時期に大通公園を北海道各地の秋の味覚で満たし、入り込みを図ることを目的に08年から始まった。
大通公園の西4丁目から8丁目までの区画を使い、旬の食材やご当地グルメ、スイーツや特産品などを勢揃いさせ道内外の観光客に楽しんでもらおうというのが主旨だ。
主催は札幌市や札幌商工会議所、北海道新聞社などで構成される実行委員会。運営は広告代理店が担当し、2回目となった09年からは3年ごとに運営する代理店をコンペで決める方式になった。
西4丁目から8丁目までを3区画に分けて3社の代理店が運営を担当。09年からは北海道博報堂、ノヴェロ、ピーアールセンターがそれぞれ受注していた。
今回のオータムフェストで区切りの3年間が終了するため、来年以降は新たな3年間の運営に向けて実行委はコンペを開き発注する代理店3社を決めることになる。
広告代理店業界は、テレビや新聞などマスメディア向け広告が縮小している影響を受け新たな事業確保に躍起になっている。とりわけ秋のイベント需要はこれまで端境期だったことから「オータムフェスト」は代理店業界にとっても垂涎の的。
年々注目を集めてきた「オータムフェスト」は代理店業界にとっても腕の見せどころでもある。来年以降3年間の受注を巡って代理店業界は早くもしのぎを削り始めている。