北海道大学観光学高等研究センターとJR北海道は、北海道銀行の協力を得て8日、小樽運河プラザ三番庫で観光創造フォーラムを開催した。講演者からは、「小樽は函館よりもイカの水揚げが多い。セクシーな女性のイカキャクターを作って函館のイカール星人に宣戦布告すべきだ」(HMカンパニー林英邦社長)という意見や、「道庁の観光予算は8億円しかない。観光業者の税収は600億円もあるのにいかにもアンバランス」(石森秀三北大観光学高等研究センター長)など白熱した本音の議論が戦わされた。(写真は小樽運河プラザ三番庫で行われたフォーラム)
石森センター長は、北海道は観光資源の宝島であり日本だけでなくアジアの宝島であることを強調したが、「観光に関わる業界の人たちは安売り競争に走っている。入り込み客数など量を追うのではなく、質を高めていく取り組みを進め、観光立国を超えた観光創造立国を目指すべきだ」と語りかけた。そのうえで、道の観光政策にも注文をつけ、「観光関連からの税収は600億円にも及ぶのに政策予算はわずか8億円。農業関連予算が1500億円なのだから、観光はもっと正当に評価されるべきだ」と釘を刺した。
また、林氏は「成熟社会では万人受けするものは注目されない。10人にうけるよりも1人の熱烈な支持者を作った方が効果がある」とし、特産品や名所に物語を付加することや全く関係のないものを連結させる触媒を探すことで、大化けする可能性に言及。
林氏は北海道唯一のお城である松前町に残っている青い鎧を使ったキャラクターを使った町おこしや目立った特徴がない真狩村を「何もないムラ」として売り出す仕込みをしていることなどを紹介した。
さらに林は、「小樽は函館よりもイカの水揚げが多く、イカで全国的知名度の高い函館よりも本当は注目されるべきだ。セクシーな女性のイカキャクターを作って、勝手に函館のイカール星人に宣戦布告するようなことをすれば、函館VS小樽のイカ戦争として脚光を浴びるのでは」と積極的に仕掛けていく大切さを訴えた。
飯田勝幸NPO法人北海道鉄道文化保存会理事長(有島記念館館長)は、「鉄道はこれまでモノを運ぶ発想が強かったが、心を運ぶことに考えを変えるべき。モノの結節点から人や心の結節点として駅の機能を変えることが大切」と述べた。
鉄道は乗客が減って効率が悪くなると廃線して切り捨てることが多く、小樽も手宮線の軌道も撤去してしまいJR北海道も新しい提案が殆どなかった。飯田氏は、「鉄道は国鉄時代から、国の夢が住民の夢という図式だったが、これからは住民の夢が国の夢という流れを作るべき。地域が自発的に駅や鉄道に住民パワーを吹き込む時代になっている」と述べ、「真似事ではなく独創的、感動的な駅を創ることを是非住民とJRf一体で企画して欲しい」と提案した。