民事再生による再建を進めていた札幌藤の沢すずらんゴルフ場(札幌市南区)は、運営する「札幌すずらんカントリークラブ」を売却して札幌地裁に特別清算を申請することになった。プレー料金値引きと入場者減による収入不足と土砂崩れなどによるコース補修費用の発生などにより、継続困難のため道東の土建業者に売却する。負債額と売却額の差は債権金融機関の札幌信用金庫が償却する。(写真は、札幌すずらんカントリークラブ)
「札幌すずらんカントリークラブ」は18ホールで札幌市南区藤野に位置し都心から約30分と近い。開場は、1966年と古く、前経営者の故加賀谷正治氏が札幌市の土地などを取得してオープンさせた。バブル崩壊後は、入場者減と預託金返還が重なって経営難に陥り、加賀谷氏の病気で経営者が今村勝氏と交代。今村氏は、2010年3月に民事再生手続きを申し立て、預託金会員と札信金の債権を大幅にカットしたうえで再建計画を履行してきた。
しかし、大雨によるコースの土砂崩れや貯水ダムの決壊が重なり、コースの維持管理が難しくなっていたため一昨年ころから売却先を探していた。
今回、道東の土建業者とゴルフ場の売買で基本合意したため特別清算の手続きに入ることになった。売却額は明らかではないが、預託金会員約450人の未返済預託金総額は約700万円程度のため1人当たり1・5万円強を返済、さらに札信金の約2億円の担保債権(別除権債権)についても一定額を充当した上で不足分は札信金が償却するものと見られる。
2月末までにこうした手続きを終えて札幌藤の沢すずらんゴルフ場は特別清算に踏み切る。
なお、ゴルフ場を取得する土建業者は、会員制ではなく一般客でもプレーできるパブリック制で当面ゴルフ場運営を継続する。