北海道ファシリティマネジメント協会が指定管理者制度セミナー開催、小川康則総務省行政経営支援室長がはFMとの接点強調

ファシリティマネジメント

 北海道ファシリティマネジメント協会(HFMA)は、第2回「指定管理者制度セミナー」を札幌市西区の札幌市生涯学習センターで開催した。総務省で指定管理者制度の策定に携わり、札幌市役所にも出向経験のある小川康則総務省自治行政局行政経営支援室長が『指定管理者制度の課題と展望』と題して講演。札幌市役所や道庁など行政機関やHFMA会員など約150人が参加し、活発な発議応答も行われた。(写真は、5日に開催されたセミナーで講演する小川康則総務省行政経営支援室長)

 
  指定管理者制度は2001年の小泉改革で議論され、03年の地方自治法改正で導入された。3年間の移行期間を経て06年9月に自治体の直営施設を除くすべての公の施設が指定管理者制度に移行しているが、個々の施設に制度を導入するかどうかは幅広く地方公共団体の自主性に委ねている。
 
 制度の目的は①民間事業者の活力を活用した住民サービスの向上②施設管理の費用対効果の向上③管理主体の選定手続きの透明化で、この制度を主体的に設計したのが当時総務省自治行政局長の久元喜造氏。  
 
 小川氏は、「久元氏は私の15年先輩だが、私も制度設計に携わった。しかし、制度を作って実際に導入が始まった時にはうまくいくのかとひやひやものだった。06年に滑り出し、今年で6年目。3年更新のところが多かったため、2巡目に入り軌道に乗ってきたが、見えてきた課題もある、指定管理者制度はセカンドステージに入った」と全国の自治体で定着してきたことを強調した。

 09年4月1日現在で、指定管理者制度が導入されているのは全国で7万22施設。それからさらに3年余りが経過しているため、7万3千数百に増えているという。そのうち純粋民間企業が指定管理者になっているのは3割。
 
 指定管理者制度とファシリティマネジメント(FM)をどう結び付けていくかについては、行政における施設管理の方向性とFMがマッチする部分が多いとし、①建設・整備から維持・更新へ②部局単位の管理から全庁一元の管理へ③アウトソーシングを前提とした管理体制の整備④アウトソーシングの産業化への支援――でFMの果たす役割は大きいとした。
 
 また、指定管理者制度は価格競争が激しいことに対しては、「民主党政権で、現在行革推進法が討議されている。これが国会を通れば、調達改革が進み指定管理者制度も価格だけでなく競争的対話によって施設、サービス水準に踏み込んだ契約が行われる。行革法の調達改革に注目して欲しい」と述べた。
 
 小川氏は、「行革は施設ハードの人員削減やサービス低下をもたらさないバランスを取りながら進めてきたが、今や乾いた雑巾のようになってきた。しかし、働くものとして最低限快適な現場、やる気の起こる施設であることは必要だ。こうしたワークスタイル、ワークプレイスの改善のきっかけはFMの考え方だ」とFMの中で指定管理者制度はツールになると語った。
 
 その後、参加者からは指定管理者制度の公募、非公募の基準に対する考えや評定、査定についての質問が出るなどセカンドステージに入った制度とFMの接点を探る意見交換が進められた。

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