社団法人北海道ファシリティマネジメント協会(略称・HFMA)と帯広商工会議所は、帯広市のとかちプラザで「震災・節電・省エネ対策ファシリティマネジメントセミナー」を開催、約120人が出席してエネルギーの効率利用やBCP(ビジネス・コンティニュイティ・プラン=事業継続性計画)対策などの講演に耳を傾けた。(写真は、8月22日に開催された帯広セミナーで挨拶する高橋勝坦帯広商工会議所会頭=左と講演する羽山広文北大大学院教授)
今回のセミナーは、昨年10月の旭川セミナーに続く地方開催の第2回。ファシリティマネジメント(FM)は、企業団体などが保有または使用する全施設の資産や利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画・管理・活用する経営活動のこと。
昨年の東日本大震災を契機に、これまでFMの分野で扱ってきたテーマの重要性が再認識されている。
帯広セミナーでは、「エネルギーの効率化」をテーマにHFMA顧問で北大大学院工学研究室教授の羽山広文氏が、「FMで未来を拓く―FMが切り札―」をテーマに公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)会長の坂本春生氏がそれぞれ講演。
羽山氏は、シチズン夕張の既設工場改修で導入された外気冷房併用型置換換気システムを例に取り、旧工場の混合空調システムとの比較で約64%の一次エネルギー消費量が削減できたことや空調や給湯、照明、厨房などにFMの考えを取り入れた社会福祉法人北海道社会福祉事業団の太陽の園の例を紹介した。
坂本氏は、FMの目的を経営への貢献、人への貢献、社会への貢献だと述べ、「トップのリーダーシップで情報の一元化・見える化、統轄組織の設置・掌握、FMの戦略とプライオリティの決定、全体最適の確保を実施すべき」と訴えた。
また、坂本氏はFMのISO(国際標準化機構)化を推進、JFMAが担当して3年後をめどFMのISO化を目指す考えを示した。
なお、HFMAでは、9月5~7日の3日間、約20人の参加による「FM東日本大震災復興視察会」を実施、石巻観光物産センターや南三陸さんさん商店街、NTTファシリティーズの関連施設など被災した地域の復興状況をFMの視点から視察する。