一般社団法人北海道ファシリティマネジメント協会(略称HFMA、会長・吉田洋一前北海道社会福祉事業団理事長)は11日、札幌市中央区のニューオータニイン札幌で「2019年特別講演会」を開催した。HFMA会員や行政関係者、経済界などから約200人が参加した。(写真は、講演する多田健一郎・内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)
最初の講演は、元道副知事で現在は内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補の多田健一郎氏が『地方創生まち・ひと・しごと』をテーマに講演。多田氏は、「東京圏への転入と転出を差し引いた転入超過は女性が多くなっている。男性は、転入数が多くても転出数も多いため2018年の転入超過数は5・8万人で女性より2万人少ない。女性が東京圏に留まるのは、しがらみがない、仕事が多いなどの理由が考えられるが、はっきりと分析できていない」と述べた。
また、18年に道内市町村から札幌市に転入したのは9595人(男性3639人、女性5956人)、札幌市から東京圏に転出したのは3669人(男性1439人、女性2230人)というデータを示し、「札幌から東京圏に毎年4000人も転出していることで本当にいいのか。全国の政令市の中でも東京圏転出は3番目に多い。このことをよくよく考えないといけない」と警鐘を鳴らした。
(写真は、『文化とまちづくり』をテーマに講演する杉浦久弘・化庁審議官・内閣官房内閣審議官)
続いて道教育委員会教育次長を務めた経験のある文化庁審議官・内閣官房内閣審議官の杉浦久弘氏が『文化とまちづくり』と題して講演した。杉浦氏は、「欧米ではオークションと博物館行政がリンクしており、経済の力を使って文化財を守ると取り組みが行われている。日本でも地方にある文化財や文化の大切さを認識して人とカネを呼ぶツールとしてうまく使ってまちづくりと連動するのが良いのではないか」と話した。
文化庁は令和3年京都に機能の7割を移転することを踏まえ、「真っ先に文化庁が地方創生を背負っていかなければならない。移転を実践して文化と地方の力の融合を図って地方の基礎固めの一助として頑張りたい」と訴えていた。