旭川市を中心に道北、道東、道央に低価格小型スーパー「DZマート」を展開しているダイゼン(本社・上川郡鷹栖町)の柴田貢社長がこのほど、自身の半生を振り返った、『バカ息子、空振りオヤジ、還暦起業家。スーパーの二代目社長のもがきと本気』を出版した。(写真は、『バカ息子、空振りオヤジ、還暦起業家。スーパーの二代目社長のもがきと本気』を持つ柴田貢社長)

 元衆議で旭川・買物公園に若者らが小規模店でチャレンジする飲食街「旭川はれて屋台村」創設者の杉村太蔵さんが、帯に「ぜひ還暦起業家・柴田さんの思いを感じ取ってほしいと思います。必ずあなたも一歩前へ踏み出す勇気をもらえるはずです!」と推奨の言葉を寄せている。出版のきっかけとなったのは、杉村さんが、柴田さんに本を書くことを勧めたこと。柴田さんは、旭川の経済人の紹介で杉村さんと会ったが、半ば初対面で執筆を「約束させられた」(柴田社長)。

 柴田さんはプロローグの中で、「父から社長のタスキを受け取って20年ちょっと経ちました。せっかく引き継いだのだから、この会社を大きくしたい、店を増やしたいと、ずっと思ってはいました。でも実際は、失敗に始まり、ぬかるみにはまり、溺れかけ、何年もかけて試行錯誤して、なんとか必死に生き延びてきたというのが本当のところです」と書いている。

 父・恵治さんから大善(現・ダイゼン)を引き継いだのは40歳の時。以後、どんな苦難の道を歩んだかは、読んでからのお楽しみだが、決して諦めることなく、次に“歩み”を進める姿に勇気をもらえる。
 エピローグで、「大事なのは、死ななかったこと。大事なのは、致命傷を負わなかったこと。大事なのは、生き残ってこられたこと。だからこそ、私は本気になれるチャンスをつかめました」と書いている。

 昨年4月、62歳の時、突如、「年間10店舗以上、出店する」と高速出店計画を発表。年間2、3店舗だった出店を一挙に10店舗以上という、還暦を過ぎての、この決断は起業家精神そのもの。「遠回りして志やロマンを見つけて、新しい人生の扉が開けた気分」という柴田さんの“還暦起業家”の仕事は始まったばかりだ。出版の狙いの一つは、人材確保。「この本を読んで少しでもダイゼンに興味を持ってもらえたら」と柴田社長。コーチャンフォー旭川店、ダイゼン各店で販売している。46判、208ページ、1650円(税込み)。



21人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。