【動画】きのとや系ユートピアアグリカルチャー、放牧と養鶏と菓子作りの循環モデル「盤渓農場」始動

経済総合

 菓子製造販売きとのや、千秋庵製菓でつくる北海道コンフェクトグループ(本社・札幌市中央区)のグループ会社、ユートピアアグリカルチャー(同・沙流郡日高町、以下ユートピア社)は、10月18日から札幌市中央区盤渓376で「盤渓農場」の運営を開始した。平飼いの鶏舎を設置して、生みたての卵を一般販売するほか、菓子材料としてグループ向けに供給。また、馬や牛を放牧することで森を再生する研究も北海道大学やソニーグループ(同・東京都港区)と共同で実施する。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。<

(写真は、「盤渓農場」の鶏舎など)

 ユートピア社は、日高町で放牧酪農や平飼いの養鶏を行っており、乳牛70頭、5000羽の鶏を飼育している。そこで搾った生乳や生みたての卵を、札幌市清田区の「きのとやファーム店」で加工、グループ向けの原材料として供給している。また、自社でチーズケーキを製造・販売、『チーズワンダー』のブランドでオンライン販売している。

 今回、「盤渓農場」を開設したのは、日高町での放牧酪農や養鶏のノウハウをさらに発展させ、多様な動物による森の再生と菓子作りを循環させるビジネスモデルを構築するのが狙い。昨年、22haの森を取得して整備を進め、農業用のパイプハウスを使って鶏舎2棟と牛馬厩舎1棟、研究執務室1棟の計4棟を設置した。4棟の延べ床面積は約1058・4㎡。

(写真は、鶏舎の説明をするユートピア社の長沼真太郎代表取締役)
(写真は、農場で採れた「盤渓自然卵」の自動販売機を備えた鶏舎など)

 鶏舎の中には鶏が食べられる植物を植えて平飼いを進化させ、1坪当たり6~7羽と通常飼育数の4割に抑え、伸び伸びとした環境をつくった。鶏の飼料には、菓子製造で出でくるケーキのスポンジ屑やクッキー屑、イチゴのヘタとなどの端材を一定程度混ぜ、卵の味がどう変化するかなども検証する。鶏舎2頭で1000羽を飼育している。

 山林には、現在、北大静内研究農場の北海道馬種、道産子9頭を放牧。飼料などは与えず、敷地内のクマザサなどを自由に食べさせている。冬期間はいったん、静内研究農場に戻すが、来春には再び放牧、ユートピア社が日高で放牧している乳牛数頭も盤渓農場に移す。北大とソニーグループとの共同研究期間は2年間だが、ソニーグループの持つセンシング技術などを使って、草木の成長や土中成分の変化、二酸化炭素の吸収などについてデータを蓄積、動物による森林再生の実証実験を行う。

 ユートピア社の長沼真太郎代表取締役は、「美味しいお菓子を作るためには、どういう生乳がいいのかを追求していく中で、放牧酪農に出合った。放牧酪農には大きなメリットがあるが、お客さまにはなかなか伝わらない。『盤渓農場』は、お客さまに放牧の価値を伝えるためのさまざまな実験の場にしたい」と話した。

 その上で、「土壌が良くなれば草がより良くなり、それを食べた牛の生乳もおいしくなり、それを利用したお菓子もおいしくなる。そうなれば、私たちの売り上げや利益が上がり、さらに土地を豊かにする投資もできるようになる。毎年、毎年お菓子がおいしくなって、土地も良くなっていく循環のビジネスを構築していきたい」と語った。
(写真は、「盤渓農場」オープンイベント後のフォトセッション。左から北海道大学大学院農学研究院環境生命地球科学研究室の内田義崇准教授、ユートピアアグリカルチャーの長沼真太郎代表取締役、施設設計を担当したDOMINO ARCHITECTSの大野友資代表)
(写真は、オープンイベントに顔を見せた北海道コンフェクトグループの長沼昭夫会長)

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