【動画】エコモットが札証アンビシャス上場 地域一丸で後押ししたIPO

経済総合

 27歳で資本金10万円、ノートパソコン1台で創業した入澤拓也社長率いるエコモット(本社・札幌市中央区)が6月21日、札幌証券取引所の新興市場「アンビシャス」に上場した。創業から10年、37歳になった入澤社長はあらゆるものがインターネットに繋がるIoT社会の追い風を受け次なる成長の高みを目指す。※映像はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください

IMG_5403(写真は、アンビシャス上場を記念して札証の鐘を鳴らす入澤拓也社長と役職員)

 21日、札幌証券取引所で行われたIPO(新規株式公開)を祝うセレモニー。札証関係者や証券会社支店長、エコモット関係者、金融機関関係者など総勢50人近くが集った会場は、終始和やかで爽やかな空気に満ちていた。通常の上場セレモニーが「儀式」だとすれば今回はまるで「誕生会」のような雰囲気。
 その理由は入澤社長自身の人柄にもよるが、それよりも地域が一丸となってエコモットの成長を後押しした連帯感にあるようだ。

 米国留学中にシアトルでITの洗礼を受け、札幌のクリプトン・フューチャー・メディアで音楽コンテンツの制作を手掛けた後に起業。コア技術はモバイルを利用したネットのシステム開発。最初の事業はスマートフォンのなかった時代に始めた携帯電話を利用したマンションや駐車場の融雪装置遠隔システムだった。

「創業してから10ヵ月目の時、北洋銀行北郷支店の担当者からこう言われた。『何でも構わないから事業計画書を持ってきなさい』。計画書を書いて300万円の融資を受けた」(入澤社長)。
 それを端緒に札幌市のベンチャー支援を受け、北海道ベンチャーキャピタルと出合い、さらに市の「札幌元気チャレンジファンド」、道内信用金庫や北海道ベンチャーキャピタルなどが組成した「北海道しんきんファンド」の出資を受けるようになった。

 成長の早い段階で資金が集まると同時にスマートフォンの登場によってエコモットの事業は大きく広がった。人手不足も相まって検査や監視といった分野で同社のシステム技術は土木建設業、製造業、交通運輸業などの課題解決のツールとして重宝されるようになっていく。
 今でこそIoTが注目されるようになったが、同社は10年前からこの分野を手掛けており、北海道発のIoTベンチャーと位置付けられる存在だ。

 17年3月期の売上高は、前期比86%増の13億7000万円、18年3月期も10%増の15億円を予定している。売り上げの道内比率は25%ほどで他は道外で稼ぐスタイルだ。

 セレモニーで入澤社長は、「地域社会の金融機関に大きく支えられてきたと痛感している。私の信念は『約束は守る』ということ。借りたお金は必ず返す、出資してもらったお金は必ずプラスにして返す――そういう気持ちで今日まで頑張ってきた。上場で約束を守ることができた安心感と同時に成長期待のプレッシャーを一身に感じている。それをバネに今後も頑張りたい」と挨拶した。なお、しんきんファンドの投資先の中でエコモットは上場第1号になった。 

 初値はその日の10時45分に付いた4195円(公募価格は2730円)。それを知った入澤社長は「初値価格を下回れば経営者の責任。初値を下回らないようにしたい」と気を引き締めていた。
 
 入澤社長の人柄は、セレモニーの最後に札証の担当者に創業10周年とアンビシャス上場を刻印したバウムクーヘンをプレゼントしたことにも表れた。「湯浅さん(上場推進部長)にいつも声をかけてもらったことも上場への励みになった」と入澤社長がバウムクーヘンを手渡すと大きな拍手が沸き起こった。「誕生会」に相応しい場面だった。
IMG_5440 (2)(写真は、入澤社長が札証の湯浅部長にプレゼントしたバウムクーヘン)

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