コープさっぽろ(本部・札幌市)は6日、道内の太陽光発電事業者などから電力を買い取る事業を始めると発表した。道内の太陽光発電事業者はこれまで北海道電力に売電するしか選択肢はなかったが、コープさっぽろは需要家サイドから相対取引に近い形で指名買いを実施、道内での再生可能エネルギー普及を後押しする。コープさっぽろにとっても電気代の節約に繋がるメリットがある。需要家サイドから再生可能エネルギーの買い取り事業を始めるのは全国初となる。(写真は、エネコープのメガソーラー施設=帯広南町発電所)
道内の太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの発電事業者は、これまで北電に売電するしか道はなかった。太陽光発電の場合、FIT制度(全量買い取り制度)によって1キロワット時当たり42円で北電が買い取っているが、コープさっぽろ側は1円上積みして買い取る。
実際には、新電力(PPS)コンサルで昨年10月に東証マザーズに上場したエナリス(東京都足立区)とコープの100%子会社、エネコープ(札幌市)が提携、FIT制度よりも高く買い取り、安く売る仕組みを活用する。
まずこの仕組みを利用してエネコープが昨年から帯広市で始めた2メガワットメガソーラー発電施設から発電される年間240万キロワット時の電力を5月から全量買い取る。この電力量は、一般的なコープ一店舗が使用する電力に相当する。
エネコープとエナリスは、今後道内の太陽光発電事業者に、コープ店舗で使用する電力分として購入を持ちかける。
道内の太陽光発電施設の設置申請は2180メガワットあるものの、実際に設備が稼働しているのは117メガワットしかない。コープさっぽろは、需要家サイドから太陽光発電の普及拡大の流れを作る。
コープさっぽろは、これまでグーグルと提携して店舗の電力使用量を効率的にするBEMS(ビルディング・エナジー・マネジメント・システム)を各店舗に導入、また、PPS事業者からの電力購入も実施してきた。全108店舗の電気代は約27億円程度だが、そのうち3分の1は既にPPSからの電力購入分。コープさっぽろは、PPS購入分の中で今回の買い取り分の比率を高めて行くことでさらに電力料金の低減を図っていく。
さらにコープさっぽろは、エナリスとエネコープが始めた今回の再生可能エネルギー購入の仕組みを活かして、2016年以降の電力小売自由化で一般家庭向けにも電力販売を模索していく。