元ヤクザから回心した鈴木啓之牧師(58)がススキノに「人生やり直し道場」兼「平成の駆け込み寺」兼「シロアム教会」開設

社会・文化

IMG_1133 元ヤクザで生死の極限まで追い詰められ、キリスト教との出会いで回心しシロアムキリスト教会牧師になった鈴木啓之氏(58)が4月6日、札幌ススキノに平成の駆け込み寺として「シロアムクリストチャーチ」(中央区南7条西8丁目LC壱八番館4・5F)を開く。同氏はNPO法人「人生やり直し道場」理事長でもあり、ここを拠点にススキノから自殺者を一人でも減らそうと活動を本格的に始める。3月3日には教会兼駆け込み寺兼やり直し道場の開設を前に、ススキノのブルーウェーブイン札幌で鈴木牧師の講演会が開かれた。(写真は、講演する鈴木牧師)
 
 ススキノで活躍している黒人歌手、ビリーキングさんの讃美歌で始まった講演会にはススキノで働く飲食店関係者を中心に約100人が参加。鈴木牧師はここで自らの半生を隠すことなく語った。
大阪市生野区で生まれ17歳でヤクザの世界に入り、34歳の時、博打の金として他の組の親分から預かった大金を勝手に使い込むなどして組織の仲間数千人から命を狙われて死の恐怖に怯えながら逃亡。自殺を考える日々だったが、拳銃をこめかみに当てても手が震えて引き金が引けず、弱い自分にますます自暴自棄に陥る。
 
 東京でフラフラになりながら歩いていたとき、目に飛び込んできたのが十字架を掲げた教会だった。教会の中に入り、キリスト像の前で鈴木氏はただ『助けてください』と心の中で叫んだという。
 
 鈴木牧師は、「私はいつも逃げることで人生をごまかしながら生きてきた。醜さ、汚さ、弱さが自分の本質だった。『もうやり直せない』と思う自分と『やり直せるかもしれない』と思うもう一人の自分がいたが、相談できる人は誰もいなかった。そんな時に引き付けられるようにして入った教会。目に見えるものしか信じなかった自分が、見えないものにすがろうとしていた」
その時、教会の牧師から『誰でも変わることができる』という言葉を掛けられたという。「たったひとつの言葉が人生に変化を与えてくれるなんて信じられなかった。でも私はその言葉に縋り付いて心に迎え入れた。弱い自分の本質に気づかされ、それが大きな財産になった。私は、人生は気づきの連続だと思う。変わらなければならないと気づいたらその人の人生は変わる。変わるチャンスは気づくことから始まる。気づきを育みながら前へ進めば、人は変わるのではないか」と鈴木牧師は切々と訴えた。
 
 鈴木牧師は約10年間に亘って札幌で人々の悩みを聞き、やり直しの助力を続けてきた。北海道から少しでも自殺者を減らしたいという鈴木牧師の思いに多くの協力者が現れ、自身が千葉県柏市に立ち上げたシロアムキリスト教会堂の分教会という形で4月6日に札幌に開設する。教会であるとともに駆け込み寺、また人生やり直し道場としてススキノや多くの道民の悩みに向き合っていくという。鈴木牧師は週の半分は札幌で過ごすことにしている。
 
 講演会の締めくくりで、鈴木牧師はこう語った。「自分の本当の姿を見たら逃げることや目をそらすことでしか対応できないのが大半の人間。レッテルを貼られて自分もそうだ思っている場合が多い。変わらなければならないと気づいてもなかなか行動に移せないのが現実。自分の本質に気づいて変えるということは価値観を変えること。そのお手伝いをしたい」
 
 ※シロアムキリスト教会…中途失明者の大村善永牧師によって視覚障害者への伝道を主目的に1948年に創立。主イエスが盲人を癒したとされるシロアム池にちなんで名づけられた。プロテスタント教会に所属。
鈴木牧師はシロアムキリスト教会主任牧師。

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