「グットバイ!狸小路」ラルズが原点の店舗から撤退、室蘭の旧長崎屋店舗跡に新規出店という「アークス版成長戦略」

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IMG_0183 アークスの子会社、ラルズ(本社・札幌市)は7日、5月下旬に札幌の狸小路商店街にある「ラルズプラザ札幌店」と「ラルズマート札幌店」(同市中央区南2条西2丁目)の閉店方針と室蘭市の旧長崎屋室蘭中央店跡に今夏にも新規出店することを同時発表した。ラルズ生誕の地でもあった札幌・狸小路から出て、売上げの見込める新天地に経営資源を振り向ける『アークス版成長戦略』とも言えそうだ。(写真は、5月下旬閉店が決まったラルズマート札幌店とラルズプラザ札幌店が入る金市舘札幌ビル=2014年1月7日午後5時撮影)
 
 衣料品を扱うラルズプラザ札幌店と食品のラルズマート札幌店は、ラルズ原点の店舗だ。1983年に、当時の金市館札幌ビル地下1階にラルズの前身である大丸スーパーが出店。このことが契機になって道内各地で展開していた金市舘の衣料品販売部門だった丸友産業と大丸スーパーが合併、ラルズが誕生した。
 
 丸友産業の社長だった加藤正雄氏は、ラルズ誕生後に会長に就任、社長の横山清氏とアークスが誕生する2002年までコンビを組んだこともあった。
 
 閉店の理由は、「30年前と商業環境が変化し大通から札幌駅前に消費の中心が移り、食品、衣料品共に漸減傾向にあったため、賃借契約満了を機に閉店することにした」(アークス広報)というもの。
 
 地下1階、地上8階建てのビルのおよそ8割に当たる約1万㎡を利用して地下に食品スーパー「ラルズマート札幌店」、1~8階には衣料品販売の「ラルズプラザ札幌店」を展開していたが、5月下旬閉店で全面撤退することになる。「根強いファンがいる」(広報)ことから、消費増税に重なる時期に閉店セールを実施し31年間に及ぶ利用に感謝の念で応える予定。
 
 一方、旧長崎屋室蘭中央店跡(中央町3丁目)は昨年12月にラルズが所有者のキョウデンエリアネット(東京)から取得していたもので、今夏に出店。建物面積は約5712坪で地上4階建て。1階にスーパーマーケットを展開し、2~3階にテナントが入居、4階は屋上駐車場にする。駐車台数は、地上59台、屋上218台。
 
 アークスは、2014年を総攻撃の年と位置づけ、事業構造の転換を含めて大胆な成長戦略に着手することを宣言している。ラルズ原点の店舗から撤退する一方で、室蘭に新店舗を構えることを同時進行することを発表したのは、社内外に総攻撃の第一矢をアピールする狙いもありそうだ。

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