アークス横山清社長が熱論3000秒③政権交代の最悪事態まで想定して舵を取る

流通

DSC_5393 アークスの中核をなすラルズは公取問題もあって、ここ2年間は新規出店もなく道内流通業界からは「寝たふりスーパー」という異名を取るほど不気味がられている。横山清社長も「ラルズは攻撃的守備に徹していた」と振り返っている。しかし、2014年は「積極的守備」に舵を切ると宣言する。新春特別インタビューの最終回は、強気の横山節で締めくくられた。(写真は、生まれ故郷である芦別市のラルズ店舗リニューアルで挨拶する横山清社長=2013年11月15日)
 
『(アークスグループにとって)北海道はラルズが機関車だが、昨年は公取問題による体制の立て直しで攻撃的守備に徹した。店舗によっては多少陰っているところはあるが、これだけの利益を出しているスーパーは他にはないですからね。新年度は積極的守備ということで全力を挙げてやりますよ』
 
『新店はいろいろと検討しているが、一昨年8月に閉店した長崎屋室蘭中央店の土地建物を取得したのもそのひとつ。室蘭市中央町はもともと室蘭の最大の繁華街で、商店街の真ん中には25年ほど前までは金市舘の店舗があった。金市舘とダイマルスーパーが合併してラルズが誕生したが、あの周辺の町内会の人たちは、ラルズと言えば金市舘だと思っている人が多くて、市会議員を通じて旧長崎屋の跡に金市館(=ラルズ)を持ってきてほしいという話があったらしく、土地建物の所有者(キョウデンエリアネット=東京)から接触があった』
 
『しかし、建物は築後30年以上経過しており、建て直すにしてもアスベストの問題がありそうだし、そのまま使うにしても耐震・免震の問題もあるので話はそのままにしておいた。そうしたら、所有者から耐震・免震はクリアーしていることとほぼ土地代のみで売るという話が出てきたので昨年末に取得した。あの物件をそのまま使うか、建て直すかはまだ決めていない。でも、市役所や市立病院に近くて、あそこの駐車場は半分くらい市立病院利用者で埋まるそうだから、そういう役割も有るので検討していきたい』
 
『アークスは1月6日から始まる日本取引所グループの新指標である「JPX日経インデックス400」に組み込まれた。時価総額や3年間の収益性、あるいは会社の役員構成の透明性なども含めた指標から割り出されたもので、投資者にとって投資魅力の高い会社の一つとして認められた訳です。食品スーパーでは、バロー(岐阜県多治見市)とアークスだけ。なるほど、そういう評価もあるんだなと改めて感じている』
 
『いずれにしても、あと5年経ったら流通業界は様変わりになるよ。イトーヨーカドーはついこの間まで道内から撤退すると言われていたし、イオンだって3年ほど前には全国でGMSを30店舗くらい閉鎖すると言っていたが、実際のところは辞めきれなかったのが本当のところだろう。今は、たまたまフォローの風が吹いて環境がちょっと変わったというだけ。アベノミクスは、第三の矢どころか第二の矢も怪しくなっているから、こんなことは考えたくないが今年の暮れ頃に政権でも変わっていたとしたら、これはえらいことだよ。僕らは、そうしたことまで想定の上で強気のことを言っているんだ』
                           (この稿終わり)

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