ドラッグストア業界で出店競争を繰り広げるツルハ(本社・札幌市)とサッポロドラッグストアー(同・同)の戦いが過熱している。旭川市内では7月から9月にかけてサツドラが3店舗を出店、11月にはツルハの店舗跡にサツドラが建て替え出店する。ツルハは移転した家電量販店の100満ボルト永山店跡に出店、さらにサツドラ店舗近くにも対抗出店する予定もあるという。旭川発祥の横綱ツルハに大関サツドラが挑む構図は来年以降ますます激しくなりそうだ。(写真は通称プラタナス通に並ぶサッポドラッグストアーとツルハの店舗)
「やられたらやり返す」という言葉は流通小売業では“金言”。例え地域のシェアが高くても、地域一番店の近くに競合店が出店すれば当然売上げは減少する。ただ手をこまぬいていてはシェアが切り崩されるだけ。かつて家電量販で道内3割シェアを誇っていたそうご電器が没落していったのも、コジマが道内進出してきたことに対抗せず、「王者の過信」があったためと言われる。
旭川で繰り広げられている「ツルハ」と「サツドラ」のドラッグストア戦争は、「やられたらやり返す」という流通小売業の金言を実践しているという意味においても注目に値する。
サツドラは8年前に3店舗を出店したが不振で撤退。道内第2の都市ながら、小規模店舗1店舗だけを細々と展開してきた。一方のツルハは発祥の地でもあり着々とシェアを固め現在41店舗体制で他の全国ドラッグチェーンを押さえて盤石な基盤を整えている。
サツドラは新たに開発した400坪業態で今年7月に「大町2条店」、9月には「4条通店」と「豊岡4条店」をオープンさせ3店舗体制を築いた。さらに11月には神楽岡5条6丁目に出店する。
この店舗は、ツルハの元店舗跡地に地元の土地オーナーがサツドラを誘致したものだが、移転したツルハの「旭川神楽岡店」は徒歩2~3分の距離。2店舗はいずれも通称プラタナス通に面しており、“プラタナスの乱”とも言える真正面戦争が始まるのは避けられそうにない。
これだけでは終わらない。ツルハは昨年末に移転した100満ボルト永山店跡に出店するほか、サツドラはその近くにも出店を計画。返す刀でツルハはサツドラの豊岡4条店近隣の土地や空き物件を狙っているという。
流通関係者によると、ドラッグストアは流通小売業の中でわが世の春を謳歌している業界だという。「コンビニは大手チェーンを含めて過当競争で食品スーパーとも客の取り合いをしている。家電量販店も消費を喚起するような目玉商品や政策の後押しがなく前年割れ状態。ホームセンターも堅調だが防災や省エネ商品の需要も一巡した。唯一、ドラッグストアだけが売上げを伸ばしている」
ドラッグストア業界に吹く追い風を活かした「ツルハ」と「サツドラ」の出店競争は、来年度も続くことになりそうだ。