11月1日にスタートする札幌商工会議所高向巖会頭4期体制の向こう3ヵ年の基本計画の骨格が明らかになった。それによると札幌市とともに札幌冬季オリンピックの誘致を積極推進するとともに、札幌の中小企業が目指すべき方向性を示す中長期ビジョンの策定、国際化のさらなる推進が3本柱になるという。(写真は札幌市内の経済センターに掲げられている札幌商工会議所の銘板)
11月1日にスタートする第35期の布陣は既に整っている。高向会頭(74、北洋銀行相談役)は4期目に入り新たな副会頭2人を交え、任期中3年間は高向体制総仕上げの期間として行動する札商を体現することになりそう。
新たに副会頭に就任するのは勝木紀昭氏(60、北海道エネルギー社長)と大槻博氏(64、北海道ガス社長)の2人。4期12年、副会頭を務めた青木雅典氏(78、ホーム企画センター社長)と滝澤靖六氏(78、札幌オーバーシーズコンサルタント社長)の後任で、勝木氏は丘珠空港の活性化や都心道路整備など交通関係を担当、大槻氏はエネルギー分野を担当する。
星野恭亮氏(67、旭イノベックス社長)、岩田圭剛氏(60、岩田地崎建設社長)、似鳥昭雄氏(69、ニトリホールディングス社長)、布施光章氏(74、DORAL会長)の4人は引き続き副会頭職を担う。なお、退任する青木、滝澤両氏には名誉ポストで処遇する。
高向4期体制の事業計画として柱になるのは札幌冬季オリンピック誘致と中小企業の成長ビジョン、それに国際化推進。冬季オリンピック誘致については札幌市が来年度に調査費を計上することから、それに歩調を合わせて2026年の冬季オリンピック札幌開催の機運醸成を含め活動する。
また札幌市内の中小企業の中長期ビジョンについては、「原発、TPP、JR問題など方向感が定まっていない現状では中小企業が投資に踏み切れないなど経済停滞を引き起こしかねず、行動し提案する札商として中小企業の進むべきビジョンを示す」(高向氏)というもの。安倍政権が進める成長戦略が東京など大都市圏に集中する懸念があることから、食と観光という潜在力を活かした札幌の成長戦略を描くことになりそう。
国際化については引き続きグローバル人材の育成や教育水準の向上に向けた活動を展開していく。外国人観光客などへのホスピタリティ向上のために、ホテルや観光施設で英語や中国語、韓国語が話せる従業員に“語学バッジ”を付けてもらい外国人観光客が安心して話せるような環境も整えていく。
なお、3ヵ年の間には知事選、市長選があるため、岩田副会頭が“政治部長”の役割を担うことになる。