イトーヨーカドー北見店の閉店により、市場環境が流動的になっている北見市。人口減少が進む中で、競争はより激しくなっており、各社の実力が厳しく問われている。そんな北見市に本社を置くアークス(本社・札幌市中央区)グループの道東アークスは、3年連続で店舗の大型活性化を行うなど、積極的な改装投資を実施している。網走市を含むエリアにどう向き合うのか、北野達志社長に聞いた。(写真は、道東アークス・北野達志社長)〈きたの・たつし〉1962年8月生まれ、62歳。1985年3月大丸スーパー(現アークス)入社、2004年6月ラルズ営業本部第2運営部ゼネラルマネジャー、2005年5月ホームストア取締役、2007年5月エルディ取締役、2017年5月同社常務取締役、2019年5月同社専務取締役、2021年5月同社代表取締役専務、2022年5月道東アークス代表取締役社長兼営業本部長就任。
ーー2026年2月期は、増収増益を予定しています。
北野 前期(2025年2月期)は増収減益でした。経費全体が上昇する中、粗利を稼ぎきれなかった。前期の前半は、売上高が前年を下回っていましたが、イトーヨーカドー北見店の閉店もあり、後半から前年をクリアするようになりました。その原動力になっているのは、一昨年と昨年に「ビッグハウス」から「スーパーアークス」に業態転換した「メッセ」(北見市)と「小泉店」(同)。2店舗ともに改装効果が高く、「メッセ」は、2年間で3割以上の売上増になっています。2026年2月期の第1四半期は、増収増益で客数も伸びており、通期も増収増益を予定しています。
ーー2025年7月には、「ラルズマート本町店」(北見市)を「スーパーアークス」に改装転換しました。
北野 「ラルズマート」から「スーパーアークス」への転換なので、大きなチェンジになりました。店舗面積は約670坪で、これまでは、売り場の広さとレイアウト、品揃えがマッチしていませんでした。冷ケースを一部入れ替えて、デリカ周りを強化し、鉄板焼などラルズ(本社・札幌市中央区)が展開している「スーパーアークス」の最新MD(販売政策)を導入しました。ベーカリーは扱いませんが、専用のピザ窯を導入してピザを扱います。売り上げは、これまでの年間約8億円から11億円に引き上げたい。個人的には、立地やポテンシャルからすると、十分可能です。旧イトーヨーカドー北見店の後継店舗がオープンする前に、この店舗を含めて、しっかりと数字を固めておきたい。
ーー3年連続の大型改装になりました。
北野 2011年11月に篠原商店がアークスグループに入り、2016年3月に道東ラルズと合併、道東アークスが誕生しました。篠原商店社長だった篠原肇さんが社長に就きましたが、篠原さんは、内部体制を一本化することに力を注がれた。そのため、店舗リニューアルや新店投資には手が回りませんでした。私が社長に就任した3年前には、内部体制も整っていたので、昨年、一昨年と連続で改装ができました。ただ店舗が新しくなったということだけではなく、従業員がさまざまなことを学び、チャレンジするようになりました。改装が、社内の活性化に繋がって、士気も上がっています。
ーー今後の改装予定は。
北野 できれば、全店の改装をやりたい。好調で利益が出ていても、テナントが抜けていたり、一部老朽化したりしている店舗の改装は必要。ただ、限られた商圏なので、費用をかけた分をどう回収するか、思案のしどころです。もちろん業績が振るわない店舗もありますが、お客さまにご利用いただいている店舗なので、簡単に閉めるわけにはいきません。私たちには、食のライフラインを守る使命がありますから、なんとか工夫をして営業を続けていきます。