小樽芸術村「浮世絵美術館」開館、歌麿・写楽・北斎・国芳・広重など約1600点所蔵

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 ニトリホールディングス(札幌本社・札幌市北区、東京本社・東京都北区)の似鳥昭雄代表取締役会長(81)が代表理事を務める公益財団法人似鳥文化財団(小樽事務所・小樽市)は、2025年7月24日、小樽芸術村に「浮世絵美術館」(小樽市港町5-4)を開館させた。運河を渡る日銀通り沿いで、以前は、回転寿司「函太郎」が営業していた「浅草橋小樽運河倉庫ビル」を活用、同財団が運営する小樽芸術村では5館目となる。(写真は、小樽芸術村「浮世絵美術館」開館のオープニングセレモニー)

「浮世絵美術館」では、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川国芳、歌川広重ら江戸の人気絵師による浮世絵約1300点と大正、昭和に活躍した川瀬巴水らによる新版画約300点の作品を収蔵している。収蔵作品による企画展を開催するほか、高精細レプリカや道具の見本などを常設展示、浮世絵の魅力に触れられる場にする。


(写真は、「浮世絵美術館」の館内)

 この日、9時40分から小樽潮太鼓の演舞でオープニングセレモニーが始まり、似鳥代表理事のほか、鈴木直道北海道知事、迫俊哉小樽市長、秋元克広札幌市長、中野豊小樽商工会議所会頭らがテープカットを行った。似鳥氏は、「2016年に小樽芸術村を開設して、昨年は20万人以上が入館された。今年は、30万人を目指したい。浮世絵は10年前から集めだしたが、1600点の収蔵は国内でもトップクラス。浮世絵は、光に弱いので常設展示はできないため、100点くらいに絞って2~3ヵ月毎に入れ替えて展示して、いつ来館されても楽しめるようにしたい。インバウンドにも浮世絵の魅力を知ってもらうなど、北海道観光の振興に役立てばと思う」と話した。入館料は一般1400円。

 浮世絵には、職人たちが分業によって制作する木版画と、絵師が筆で直接、紙や絹に絵を描く肉筆画がある。同美術館には、北斎の肉筆3点、広重の肉筆画も3点を所蔵しており、春画の肉筆画もある。肉筆画の価格は4~5億円で木版画も億単位。似鳥代表理事が、国内や海外のオークションなどで競り落としたもので、海外に流出していた浮世絵を買い戻したケースもある。

 所蔵品は、似鳥文化財団の所有で、今後も毎年100点ほどの浮世絵を含めた美術品を購入する計画。このため、似鳥氏は、所有するニトリHDの株式を同財団に寄付して、その配当を購入資金に充てる。似鳥氏は、小樽芸術村の拡充を計画しており、2~3年以内に6館目としてアートか、もしくは、武家社会の美術品や工芸品を集めた美術館を開館する構想もある。「ビジネスも美術品収集も、まだまだやりたいことがあるので力を入れないといけない。80歳台が一番楽しいし、やることも多いのでなかなか死ねない」と話した。

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