日本経済新聞社と日本経済研究センターは27日、札幌グランドホテルで景気討論会を開いた。道内経済界から大槻博北海道ガス社長と堰八義博北海道銀行頭取が参加、両氏ともに足下の道内経済は個人消費と公共事業によって好況感が戻っていると分析した。個人向け住宅ローンの伸びは大きいが「消費増税前の顕著な駆け込み需要ではない」(堰八氏)という見方も示した。(写真は、札幌グラントホテルで行われた景気討論会)
北海道経済の持続的成長に必要なことを問われ、堰八氏は自動車産業が日本の成長を加速したり減速したりする片肺構造に言及、「自動車偏重は構造的に如何なものか。脱却する道を目指すべき」と述べた。そのうえで、北海道は製造業のウエートが低く人口減少も加速することから、「1次産業の資源を活用した6次産業化こそが北海道に相応しい。そこから生まれた食商品を海外に輸出していくビジネスを展開すべき」とした。
また、堰八氏は北海道がユーラシア大陸の玄関口である点を強調、「サハリンとロシア本土を結ぶ橋の構想もある。稚内とサハリンも繋がれば、それこそ鹿児島から北海道を通ってロシアに渡り、シベリア横断鉄道で欧州まで行ける時代が来るかもしれない」と語った。
大槻氏は、持続的成長の鍵を握るのは観光ではなくエネルギーと農業だと主張。「風力など再生可能エネルギーとともに石炭をもっと活用すべき。投機的な石油より欧州では石炭がかなり使われ始めており、北海道はかつて慣れ親しんだ石炭に次世代技術を使って環境に配慮した安定的なコスト安のエネルギーとして利用を図っていくのが良い」と語った。
安定的で良質なエネルギーがあれば、電炉メーカーなど電力多消費型の産業誘致もできると指摘。「良い環境、美味しい食、良質で安価なエネルギーをアピールすることで海外からも企業を呼び込める」とアピールした。