「北方ジャーナル」2025年8月号が、きょうから店頭に並んだ。今月のトップは、これまで独自に深層を追ってきた「19歳自衛官自殺、母の慟哭 6年越し裁判が今秋結審へ」。部隊内でハラスメントを受けていたという未成年の自衛官が、退職の意向を受け入れて貰えず、退路を失って自ら命を絶った。自衛隊は自殺の理由を「実家への仕送りの辛さによる」と主張。失意の遺族は2020年に問題を法廷へ持ち込んだ。5年が過ぎた本年6月、裁判はようやく原告らの尋問に到り、この秋にも審理を終える見通し。長い闘いを強いられた遺族は、改めて訴える。「国はもう噓をつかず、非を認めてほしい」。(画像は、北方ジャーナル8月号の表紙)
5月後半から始まった随意契約による備蓄米の放出で浮き彫りになったことは、“小泉米”がもたらす国民の間の不公平感である──。こう看破するのは、農業経済学の研究者として半世紀にわたり農産物の流通問題を追究してきた三島徳三さんだ。日を改めて行なった2回目のインタビューでは、主食用米の複雑な流通構造について解説するとともに、農林水産省が進めようとする作況指数の廃止や玄米の篩い目幅の変更などの問題点についても指摘。生産農家に対する直接支払い(所得補償)や食料自給率アップの必要性などについても示唆に富んだ提案が続いた。
重大な人権侵害を疑われた問題が、不透明な審議で不問に付された──。そう訴える声の主は、北海道内で80年ほどの歴史を持つ国立大学の職員。昨春まで常勤の教授だったその人は、同僚教員の1人からいわれのない脅迫を受けることになったという。時期を同じくし、周辺では10年前に起きていた別のハラスメント事案をめぐる疑問の声が改めて沸き起こり始めた。教員養成校として伝統浅からぬその学府で今、何が起きているのか。
ウクライナ戦争でロシアとの関係が断絶されている中、注目されているのが日本、とりわけ北海道と中央アジア諸国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)との関係だ。企業・自治体、開発コンサルタント、北大教授といった「プレーヤー」が中央アジアを訪ね、関係を深めながら実際に新規事業を始めつつある。この「中央アジアシフト」の背景には、互いのニーズが噛み合っていることがある。道内企業の進出、自治体による交流や人材受け入れ、学術研究の深化など近年の動きを追った。
任期満了にともなう寿都町長選(10月23日告示、同28日当開票)。3月の定例町議会で現職の片岡春雄氏(76歳)が7選を目指し出馬表明したのに続き、新人の町議・大串伸吾氏(41歳)が6月26日、北海道新聞の取材に対し出馬の意思を表明した。他にも出馬を模索する町民もいる。反対派の住民団体メンバーでもある大串氏は、「自分が描く町づくりと概要調査の実施は相容れない」との主張を掲げ、7月中旬の正式発表を計画するなど「現職VS新人」の選挙戦の構図は固まってきた。しかし、肝心の同氏を支える町民の足並みは揃っておらず、「文献調査」をめぐる動きに翻弄された関係者には疲れも見える──そんな投票まで3ヵ月余りの状況をレポートする。
このほか「旭川少女いじめ凍死事件」の問題と真実を語り合う講演会が、地元旭川で開かれたレポートをはじめ、がん拠点病院「恵佑会札幌病院」の肝胆膵外科部長にロボット手術の全国的権威、森本守医師が着任したメディカルレポート、札幌市北区の高野山真言宗「惠弘寺」の足立隆厳住職に供養の心を訊いたお盆特集などもオススメ。社会派として知られる不動産鑑定士・堀川裕巳氏の新連載エッセイも必読。道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル8月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下にある同誌のバナーをクリック。
※8月号主要コンテンツ
【報道】
■自衛隊・退職阻止の果てに──19歳自衛官自殺、6年越し裁判が今秋結審へ 母の慟哭 「国は非を認めて」
■「令和の米騒動」から食の自給を考える──北大名誉教授の農業経済学者・三島徳三さんに訊く(後編)
■不協和音に軋む伝統国大──道教育大函館校で2年越しパワハラ告発 10年前のセクハラは公表されず
■脱ロシアで注目される「中央アジアシフト」──北海道から中央アジアへ 関係強化で生まれる大きな夢
■“核のゴミ”レポートPART43──寿都町長選展望 「現職VS新人」の構図でも足並み揃わぬ核ゴミ反対派
■北大名誉教授の小野有五さんが泊村の集会で警鐘 いま泊原発の適合性審査をやり直すべき理由とは
■逮捕者が出た遠軽町での風力事業で住民団体が行政へ質問状 「無回答」に問われる地元の当事者意識
【ニュース】
■旭川少女いじめ凍死事件の真実と問題を考える講演会を地元で開催
■医療資源が乏しい離島でがんの早期発見目指す官民一体の挑戦
■北海道猟友会、新入約600人 女性・若手増で平均年齢下げる
■記念イベントが2枚組DVDに 被団協・田中さん講演など収録
【シリーズ・住宅不動産情報】(31)──北海道ハウスメーカー協議会・鳥山達己会長に訊く
■客への貢献目指して7社がタッグ 共同で土地仕入れや展示場活性化
【経済】──「道内20信金3月期決算」を徹底分析
◾️コア業務純益、16金庫で増益 貸出金利上昇の恩恵は限定的
【観光】──北海道観光機構・唐神昌子氏が新会長デビュー
◾️強固で夢をもてる業界目指す 誘客分散で経済効果を全道へ
【ビール】──2025 福祉協賛さっぽろ大通ビアガーデン
◾️今年の夏もやってくる! 席数1万以上の「日本最大のビアガーデン」
【医療】──がん拠点病院「恵佑会札幌病院」の森本守医師が着任
◾️肝胆膵外科領域のロボット手術で国内屈指の実績 膵臓癌でも諦めない医療を提供
【企業】──東京・銀座発祥の彌生グループが札幌に新拠点
■北海道の潜在力と将来性を確信 グループの総力をあげ事業展開
【お盆特集】──高野山真言宗「惠弘寺」の足立隆厳住職に訊く
◾️問い直す供養のこころを 故人のおかげで生かされていることに感謝の気持ちを
【社会】──小樽市議会で議論された「ひきこもり問題」
◾️引き出した迫市長の前向き答弁 家族交流会との軋轢も雪解けへ
【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(119)──KHJ北海道支部「はまなす」の新会長・岩﨑澄夫さんに訊く
●戦争遺産をめぐる旅(115)──まちを焼き尽くした「堺大空襲」 大阪府堺市に残された防空壕跡