明るくて、開放的、GMS(総合スーパー)の食品売り場に近い品揃え。そして、地域のニーズにマッチしたトレンド商品を充実ーー。2025年6月27日にリニューアルオープンした「マックスバリュ上江別店」(江別市上江別442-16)は、これまでの店舗コンテンツを一新するとともに、イオン北海道(本社・札幌市白石区)が展開する「マックスバリュ」のニューバージョンと言えるものだ。(写真は、2025年6月27日にリニューアルオープンした「マックスバリュ上江別店」)
(写真は、店舗入り口から見た農産売り場※店内写真は許可を得て撮影しています)
店舗入り口に立つと、両サイドに農産売り場が広がり、低い什器によって、奥まで見通せる開放感に驚く。これまでは、入り口を入ると右側に農産、左側に納豆など日配品が並べられていた。しかし、両サイドに農産を配置することによって、農産という島(区画)の世界観が、買い物客に伝わるようになっている。水産売り場、畜産売り場も同様に島を形成、ゾーニングのメリハリをつけることで、買い物客への訴求力を深める工夫が施されている。
こうした売り場展開は、北海道では珍しいが、関東では、一般的になりつつあるという。道内で標準化された売り場レイアウトに一石を投じる、挑戦的なレイアウトと言える。揃えている商品群も、地域のニーズを反映したMD(販売政策)によって導き出されたものだ。
(写真は、畜産売り場で強化したファミリー層向け大容量パック)
(写真は、「魚惣菜」のコーナー)
和牛や本まぐろなどは、GMSに近い品揃えで、豚肉に関しては、銘柄豚、道産豚、国産豚と幅広く揃えた。水産では、バックヤードで捌いた魚のフライや煮魚、焼き魚を「魚惣菜」として、同社の「マックスバリュ」では初めて販売する。「マックスバリュ」は、イメージ的に「中の中」の品揃えだが、「上江別店」では、「中の上」も揃えてGMSカラーを差し込み、買う楽しさを演出している。
(写真は、冷凍食品コーナー)
足元商圏には、若年層やファミリー層も多いが、「上江別店」の客層は、中高年層が多かった。若年層やファミリー層を十分に取り込めていないことから、トレンドとなっている冷凍食品売り場を従来比2・5倍に拡大したほか、簡便即食、デリカの充実も図った。冷凍食品コーナーは、両サイドにリーチイン冷ケース、真ん中には、開閉式の平台冷ケースを据え、「マックスバリュ」店舗の中でも最大級にした。
店舗運営の効率化という点でも、電子棚札の導入のほか、セミセルフレジの1台削減(精算機3台削減)、スマートフォンで買い物客が、商品をスキャンする、iレジにも対応できるキャッシュレス・フルセルフレジを4台導入、既存のフルセルフレジ7台と合わせて、人時(にんじ)生産性も高める。
地域との繋がりを深める取り組みも強化する。廃棄されるパンを、地元の酪農学園大学で飼育されている豚の飼料に活用してもらい、育った豚の肉を地元産豚肉として販売する取り組みも始める。鎌田一幸店長は、「改装は、単なる見た目の刷新ではなく、地域社会との繋がりを深め、より便利で快適な生活を支えるための戦略的な取り組みです」と話している。自社を含めて競合がひしめく商圏の中で、「マックスバリュ」のニューバージョン、「上江別店」は、買い物客にどう浸透していくだろうか。