トライアルHDが西友を完全子会社に、北海道は影響軽微

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 九州を地盤に、ディスカウントストアを全国展開しているトライアルホールディングス(HD、本社・福岡市東区)は、2025年7月1日付で、西友(同・東京都武蔵野市)を完全子会社にする。買収額は、約3800億円。これにより、トライアルHDの売上高は、1兆2000億円を超える。(写真は、旧カウボーイ店舗を利用した「スーパーセンタートライアル手稲店」)

 トライアルHDは、西友の85%の株式を持つ米投資ファンドKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)と15%の株式を持つ米流通大手、ウォルマートから全株式を取得する。トライアルHDは、買収額約3800億円のうち、金融機関から約3700億円を借り入れ充当する。「西友」ブランドと従業員は、承継する。

 西友は、2025年8月1日付で九州の事業をイズミ(本社・広島市東区)に785億円で、同年10月1日には北海道の事業を170億円で、イオン北海道(同・札幌市白石区)にそれぞれ売却している。西友の九州の事業は69店舗、売上高969億円(2022年12月期)、北海道の事業は9店舗、売上高261億円(同)だった。

 本州の西友は、関東エリアを中心に、駅に近接した好立地の店舗が多く、店舗数は242店舗。売上高は、北海道と九州の事業を差し引くと約5400億円。トライアルHDは、今回の買収によって、同社の基盤である九州に加えて、関東、中部、関西での基盤確立のスピードアップが図れる。西友とトライアルHDの店舗は、重複している地域が少なく、商圏のカニバリゼーションによる退店を想定していない。トライアルHDの店舗数は、585店舗になり、売上高は、約1兆2000億円を超える。

 トライアルHDの過去のM&Aは、2008年の北海道地盤だったカウボーイ、2023年の佐藤長(本社・青森県弘前市)が主だったものだった。今回のM&Aは、それらと比較できない大型買収。東証グロース上場が、M&Aに弾みをつけた。トライアルの食品売上比率は約74%。西友子会社後の売上高1兆2000億円から単純計算すると食品売り上げは、約8800億円。8000億円台のライフコーポレーション(大阪本社・大阪市淀川区、東京本社・東京都品川区)、バローホールディングス(本社・岐阜県恵那市)を超える。

 北海道の西友事業は、一足早くイオン北海道が承継しており、今回のM&Aは、直接的に北海道のスーパー業界に影響しない。トライアルHDの道内店舗数は、現在33店舗。西友子会社化による投資余力の減衰と店舗戦略の本州集中で、道内出店が続くかどうかが、ポイントになりそう。

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