北海道加工食品コンクールで高評価、「カドウフーズ」「しらおい菓子工房まいこ」2つのお菓子屋物語

経済総合

 2025年2月10日に、札幌市中央区の札幌パークホテルで開催された(一社)北海道食品産業協議会(藤井幸一会長=サンマルコ食品会長)主催の第32回北海道加工食品コンクール。ここで最高位の北海道知事賞に、カドウフーズ(函館市)の「カボチャの雪んこプリン」、2位に該当する札幌市長賞に、一印高田水産(鹿部町)の「たらすみ」、3位に当たる北海道食品産業協議会会長賞に、しらおい菓子工房まいこ(白老町)の「由栗いものスイートポテト特大」が、それぞれ選ばれた。(写真は、北海道知事賞受賞のカドウフーズ「カボチャの雪んこプリン」)

「こだわりの食品には、ドラマがある」との副題も付けられている同コンクール。今回、上位入賞を果たした2つのスイーツにも、おいしさや品質だけではない、食品ロス削減への取り組みや、ハンデキャップのあるスタッフと一緒に励む“ものづくり”といった、それぞれ独自の物語があった。

 北海道知事賞受賞のカドウフーズ「カボチャの雪んこプリン」。このスイーツは、同日同会場で併催された北海道主催の食絶景北海道×ゼロカーボンアワード(※ゼロカーボン北海道への寄与と、北海道の食としての魅力の両方を満たす道産食品の表彰制度)でも奨励賞に選ばれたほか、同社の地元・函館市で行なわれている「函館圏優良土産品推奨会」審査会の2024年受賞商品においても、最高位の函館市長賞に輝いている。

 同品は、地元道南地域の食材にこだわり、ふわっとなめらか食感になるよう、カボチャを2度裏ごしするなど手間暇かけて、丁寧に仕上げている。看板食材のカボチャは、厚沢部町産の雪化粧という品種を使っている。同社が活用している雪化粧は、品質に何ら問題無いものの、形の悪さなどから、本来なら流通に乗らず廃棄される規格外野菜。

 規格外野菜の活用は、この「カボチャの雪んこプリン」にとどまらない。厚沢部町産の白いさつまいも・黄金千貫をペーストにして、生クリームとともに求肥で包んだ看板商品の和洋折衷菓子「はこだて雪んこ」をはじめ「白い半熟スイートポテト」、時短料理に重宝するほか非常食にも活用できるじゃがいもや人参のレトルト「もうゆでちゃった」シリーズなども、原料野菜のほとんどが、厚沢部町や七飯町から仕入れた規格外野菜になっている。

 規格外野菜の有効活用については、北海道函館商業高校とも長年連携して取り組んでおり、最近も、同校流通ビジネス科3年生のグループと共同で、規格外の七飯町産ニンジンを使ったドレッシング「サニーソース」を開発。2024年12月に、函館蔦屋書店で実施した試食販売会では、およそ2時間で100セットを売り切る盛況ぶりだった。

 この他にも同社は、冬場のいもやカボチャなどの野菜の保管に冷蔵庫を使わず、発砲スチロール吹付のレンガ倉庫で行なっており、ゼロエネルギーにも寄与している。加工食品コンクールの表彰式で、嘉堂聖也社長は「2033年までに名実とも函館を代表する企業になりたい」と意気込みを述べた。同社のさらなる成長は、規格外野菜の活用の場がより広がっていくことにも、結び付いていくことだろう。

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