一般社団法人北海道信用金庫協会(事務局・札幌市中央区)は2024年11月5日、札幌市中央区のアスティホール(アスティ45・4階)で「信用金庫と共に地域を語る集い」を開催した。昨年に続く2回目で、道内信用金庫の取り組みをより広く知ってもらうための集い。大学教職員や学生、支援機関の関係者など約170人が出席した(うち大学生は約60人)。(写真は、挨拶する北海道信用金庫協会・原田直彦会長)
会場の席の配置は、一般的なスクール形式ではなく、5人ずつ10人からなる島型形式にして、交流が生まれやすいように工夫して行われた。最初に、北海道信用金庫協会の原田直彦会長(旭川信用金庫会長)が挨拶。原田会長は、「信用金庫の社会的使命や地域での役割、地域への思いを具体的事例を通してお伝えし、皆さまと共有するのが目的。人口減少など、深く重たい構造問題が全国に及んでいるが、信用金庫は、そういう状況を論評して終わることなく、地元の皆さまと活動する当事者として共に生き延び、道を切り開いていきたい」と挨拶した。
その後、信金中央金庫北海道支店の直江貴郁氏が信用金庫のビジョンや道内信用金庫の概要などを紹介した。事例発表では、最初に伊達信用金庫(本店・伊達市)経営支援室アグリサポート担当の松井菜都子氏が、「ICT技術を活用した地域農業支援」について紹介。
(写真は、事例発表する伊達信用金庫・松井菜都子氏)
松井氏は、西胆振の基幹産業である農業を技術面からサポートし、ナス農家の収穫量アップに繋がっている実績などを紹介、「当金庫のように農業に踏み込んで取り組んでいる信用金庫は全国で珍しい。専門の技術士を招聘したことで農家の理解を得やすくなった。道内の信用金庫が連携して、地域の課題解決に取り組み仕組みづくりが必要になっている」と話した。
(写真は、事例発表する日高信用金庫・伊藤華子氏)
続いて、日高信用金庫(本店・浦河郡浦河町)業務部地域貢献課地域貢献係の伊藤華子氏が、「日高信用金庫の挑戦~コラボ缶バッジで観光振興!?」をテーマに発表した。伊藤氏は、Cygames(本社・東京都渋谷区)がリリースしている「ウマ娘プリティーダービー」によって馬産地日高への関心が高まり、日高で余生を過ごしている引退馬の餌代など寄付事業が大幅に増加している機会を捉え、「うらかわ優駿ビレッジAERU」とコラボして「ウマ娘」ウイニングチケットの缶バッジを発売した経過を紹介した。伊藤氏は、「多くの人に日高の産業を知ってもらい、関係人口の増加で地域全体の活性化に繋がることを期待している」と語った。
(写真は、事例発表する大地みらい信用金庫・石井絢子氏)
最後に、大地みらい信用金庫(本店・根室市)経営企画部の石井絢子氏が、「根室・根釧地域における『観光業』の主要産業化に向けた取り組み」と題して発表。石井氏は、通過型観光になりがちだった根室市に、滞在型観光を根付かせるツールとして、アドベンチャートラベルに注目。ガイド人材育成のセミナーを継続開催していることを報告したほか、食と歴史、文化を楽しむ「ガストロノミーツーリズム」(美食旅)についても取り組みを始めたことを紹介した。石井氏は、「アドベンチャーツーリズムのガイドになった方々の経営支援なども行っていきたい。観光業を基幹産業として成長させ、国内外の旅行視野に選ばれる、持続的に発展する地域にしたい」と述べた。