セブン&アイHDによるイトーヨーカ堂分離でダイイチはどうなる?

流通

「イトーヨーカドー」の道内撤退やセブン&アイ・ホールディングス(HD、本社・東京都千代田区)によるイトーヨーカ堂(同・同)の分離によって、イトーヨーカ堂と資本業務提携しているダイイチ(同・帯広市)の動向に、道内スーパーマーケット業界の関心が集まっている。(写真は、営業していた頃の「イトーヨーカドー帯広店」)

 イトーヨーカ堂とダイイチは、2013年7月に資本業務提携を行い、イトーヨーカ堂は、ダイイチの30%の株式を持つ筆頭株主になった。当時のイトーヨーカ堂社長だった亀井淳氏は、ダイイチと組む目的について、「食の宝庫の帯広・十勝ならびに北海道の優れた産物を全国、世界に発信していく」という構想を示していた。共同販促や共同購入、惣菜商品の共同開発などがテーマだったが、実績としては、ダイイチによるセブンプレミアム商品の取り扱い拡充が大きかった。

 資本業提携当時に想定されていなかったことの1つ目が、道内「イトーヨーカドー」の全面撤退。2つ目は、カナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)によるセブン&アイHDの買収提案。1について、ダイイチは、出店が予定されていた「イトーヨーカドーすすきの店」の撤退を受けて、急遽、代替出店。また、閉店した「帯広店」跡に出店したほか、「アリオ札幌店」の後継店舗としても出店する。
 かつて、ダイイチの若園清社長は本サイトに、「少なくとも北海道にヨーカドーが存続する限り、当社との提携は無意味ではないと思います」と話していたが、その前提が崩れた中で、連携の具体策を売り場に反映させることは難路であることに違いない。

 2については、資本政策が絡むだけにもっと複雑だ。セブン&アイHDは、外部資本を入れて、持ち分法適用会社の中間持ち株会社を設立、その下にイトーヨーカ堂やヨークベニマル、ロフトなどをぶら下げることを想定、買収提案に対抗しようとしている。こうしたグループの解体的な再編の中で、イトーヨーカ堂が所有するダイイチ株式が、どう動くのかは見通せない。
 ダイイチは、大株主イトーヨーカ堂の揺らぎを直接受けてしまう関係にある。両社の相互信頼関係は強固なものがあるが、その枠組みを超えた大きなものが動き始めている。目下の流通業界を俯瞰すれば、霧が晴れた時、驚くような顛末が待っていたとしても不思議ではない。

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